思わず何度も観たくなる!映画『君の名は。』の伏線が神がかっている件





公開直後から大ヒットとなり、興行収入は2017年3月5日時点で245億7千万円と日本アニメーション史上歴代2位という記録を打ち立てている新海誠監督作品『君の名は。』。驚異的な興行収入の要因となったのは、リピーターの多さ。なぜ『君の名は。』ファンたちは何度も同じ映画を観るのでしょうか!? そのキーワードは「伏線」にありました。

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映画『君の名は。』が興行収入245億を突破!


出典:映画『君の名は。』公式Twitter

新海誠監督作品の『君の名は。』の売れ方は昨今の映画市場まれにみる勢いでしたね。グングンと観客動員数を伸ばす、その大きな要因として挙げられたのは、TwitterなどSNSでの口コミ効果でした。観た人たちが「おもしろい!」と発信することで、次々に新しい客層を獲得!

その新たなファンたちもまた同じように口コミを広げ、また、一度観た人たちも再び映画館に足を運ぶという現象も起こり、とうとう245億7千万円という数字を打ち立てたのです。

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2017-04-09

『君の名は。』の魅力は一体どこに?

ファンたちは『君の名は。』の一体どこにそんな魅力を感じたのでしょうか?その理由として挙げられるのは「伏線の多さ」。おそらく大半の人が初見だけでもいくつかの伏線に気づき、後半それらの伏線が回収されていく心地よさを味わいます。

しかし、観終わった後、何だか腑に落ちない部分が心に残るのです。「何か見落としていたはずだ」と気になって仕方なくなるわけです。つまり、『君の名は。』には初見では見落としてしまうほどたくさんの伏線が貼られているということです。これがリピーターの多さにつながったわけですね。

伏線考察その1┃組紐について


出典:新海誠作品PRスタッフ‏公式Twitter

それでは『君の名は。』の魅力の一つである、伏線についておさえていきましょう。ちなみに…すべての伏線を挙げていると、ここには書き切れなくなる恐れがあるので、一部を列挙します。まずは組紐について。三葉が髪の毛を結っている赤い組紐と、瀧が身に着けている赤いミサンガはどちらも重要な伏線です。

組紐を使った鮮烈なシーンとは?

私が映画を観たときに一番印象的だったのは組紐です。三葉が東京で「瀧くん!」と叫びながら電車のドアが閉まる直前、瀧に赤い組紐を投げ渡したあのシーンです!象徴的に使われているこのシーンですが、やはり重要な意味が隠されています。

そもそも組紐の意味とは?鍵となるのは、おばあちゃん!

冒頭付近で組紐が宮水にとってとても大切なものであることが描かれます。本作においてストーリーテラーとなっているのは三葉の祖母・一葉ですが、一葉がこの組紐について述懐する場面もあります。

組紐には糸守1000年の歴史が刻まれていて、宮水家は代々組紐を大切に守り継いでいると、組紐にはムスビの意味があることを語っています。つまり、組紐には今までに流れてきた時間や人々の想いなどがギュギュっと編み込まれ、いろいろなものを繋ぐ役割を果たしているというわけですね。

組紐の行方を追ってみる!

物語の中で鍵となる組紐とは、ズバリ三葉が髪に結っている赤い組紐です。この行方を追ってみましょう。

まず、冒頭で瀧は赤いミサンガをつけています。このシーンでは特に気になりもしない高校生のオシャレアイテムに見えるミサンガ。一方の三葉は、髪を結うために赤い組紐を使っています。入れ替わりが起こり、「バカ」「あほ」とお互いの顔に落書きをする場面でも二人ともミサンガと組紐を身に着けています。

その後、三葉が瀧と奥寺先輩のことが気になり東京に出かけており、二人は偶然に出会います。その時、三葉はもちろん瀧のことを知っていましたが、なんと瀧は三葉のことを知らない様子。思うところのあった三葉は瀧に組紐を渡します。ちなみに、このときの瀧はミサンガをつけておらず、その後、三葉からもらった組紐をミサンガのようにして手に巻き身に着けるようになります。

組紐の行方を追う=二人の時間軸のずれを強烈に感じる

上記のことから、瀧と三葉の時間軸がズレているということが分かります。東京の電車での出会いがあったからこそ、瀧はミサンガを身に着けたのです。つまり、体が入れ替わっている瞬間は、時空を超えて入れ替わりが起きているということですね。

組紐を持っているかいないかで三葉の生死も決まる!?

ちなみに、三葉が東京で瀧に組紐を渡した翌日にティアマト彗星が落下し、三葉は死亡します。すなわち、組紐を持っていない状態で死んだということです。

しかし、『君の名は。』はハッピーエンドだったはず…どうして三葉が彗星落下から逃れたかというと、彗星落下の3年後に瀧と三葉の入れ替わりが始まるからです。瀧の時間軸でいうと、三葉が3年前に瀧に組紐を渡したがために、二人の間にムスビができ、入れ替わりが起こり始めるということです。

その後、数度の入れ替わりを経て、瀧が三葉の本当の姿に気づき、糸守を訪れ、カタワレどきに三葉に組紐を返すことによって、三葉は彗星の落下から逃れ、生きながらえたという筋書きです。

伏線考察その2┃口噛み酒・カクリヨ

伏線①の組紐ほどではないですが、口噛み酒やカクリヨも重要な伏線を張るキーアイテムです。初見では組紐よりも口噛み酒の印象が強かったという方も多いのではないでしょうか。

衝撃的なシーン!三葉が口噛み酒を作る!

宮水神社の跡取りであり巫女をつとめている三葉が、大勢の人々の前で口噛み酒を作るシーンがあります。口噛み酒は、口の中に米を含み咀嚼後吐き出すという手法で作られるため、三葉は人々に観られるのを嫌がっていましたね。

口噛み酒を作るシーンはある意味、ややエロティックでもあり、観客にも衝撃的なシーンとして印象づけます。

またまたおばあちゃん登場!口噛み酒の意味とは?

三葉と四葉が作った口噛み酒をご神体に奉納に行くシーンがあります。そこにはもちろんおばあちゃんも同行。ただ一つ違ったのは、この奉納シーンの三葉は実は入れ替わった瀧だったということ。

そこでおばあちゃんは、核心に触れます。ご神体の付近はこの世とあの世で分かれており(カクリヨ)、あの世から戻ってくるときには、半身を捧げておかないといけないと。つまり、口噛み酒=半身の役割を果たしているということですね。

口噛み酒がご神体にあるということは?

その時点で三葉(瀧in)は口噛み酒を奉納して戻ってきます。ということは、本物の三葉の半身が入った口噛み酒はご神体にあるということ。

その後、瀧は三葉との入れ替わりが起きなくなり、糸守への旅で本当の意味に気づいたとき、ご神体を訪れ、口噛み酒を飲んで、3年前の三葉と出会います。つまり、瀧は三葉の半身を飲んだために、三葉と出会うことができたということですね。

もう一つ重要なこと!瀧について

ここでもう一つ重要なことがあります。それは瀧について。瀧は、三葉の中に入って、三葉の口嚙み酒をご神体の奉納します。口噛み酒の中には三葉の半身しか入っていないので…瀧は半身をご神体に置いてきてしまったということになります。

ちょっとここの解釈が難しくて、私もまだ混乱しているのですが、半身がないことがすなわち、記憶が薄れても三葉を探し続けるということにつながるのかもという気がしています。

伏線考察その3┃カタワレ時or黄昏時

『君の名は。』の中で瀧と三葉が再会する感動的な場面=カタワレ時。これも物語冒頭から細かく伏線として説明がありました。

ユキちゃん先生の古文授業が伏線

冒頭付近のユキちゃん先生の古文授業で、黄昏時(誰そ彼)とは逢魔が時ともいい、この世には存在しない魔や妖怪などと遭遇する時間とも言われていると、黄昏時の説明があります。黄昏時の時間帯は夕暮れ時。ちょうど光の加減で人の姿が見えにくくなる時ですね。

ここですでに黄昏時に「誰そ彼」と姿がはっきりしない人を求めるというまさに本作のストーリーを物語ってしまっているわけです。ちなみに、カタワレ時とは糸守地方の方言で「黄昏時」を指します。

カタワレ時にこの世ならざるものと出会う=瀧と三葉の一瞬の再会

瀧軸のストーリーの中で、瀧は必死に入れ替わりが起きなくなった三葉を探します。そして、その想いが届いて一瞬の再会を果たすのが、カタワレ時=黄昏時です。つまり、二人はお互いの立場からいうと、「この世に存在しない魔」ということ。会えるのはこの瞬間、このタイミングしかなかった、ということですね。

それにしても、この一瞬の刹那しか会えないというのが実にロマンチック!

伏線考察その4┃糸守湖&彗星&ご神体の彗星画


出典:新海誠作品PRスタッフ‏公式Twitter

それでは最後にこの映画の格となっている「彗星」について。糸守湖や彗星、ご神体に書かれていた彗星の絵など、すべてがちょいちょいと冒頭から小出しにされ、伏線となっています。

糸守湖が丸いのはなぜ?

三葉の住む糸守の町。そこには糸守湖というキレイな円形の湖があります。この美しい湖と糸守の町の全景は、オープニングの段階で観客に示されています。

円形型の湖というと、いわゆる火山活動でできたカルデラ湖を想像すると思います。しかし、物語の後半になって、この糸守には実は火山は無く、なんとこの糸守湖は、1200年前の彗星落下によってできたことが判明します(テッシー語り)。

ご神体に彗星の絵が描かれていた理由

三葉の口噛み酒を持って三葉の中に入った瀧が、ご神体に行く場面があります。その場面で描かれているのが、ご神体にある彗星の絵です。なぜ、ご神体に彗星の絵が描かれているのでしょうか?

それは、後半のテッシー談を聞けば明らか。そうです。糸守の人たちは、1200年前に彗星の落下という惨事を経験し、この厄災から糸守の町を守らなくてはならないと強く願ったからこそ、ご神体に彗星の絵を描いたのです。

三葉の入れ替わりは1000年も前から仕組まれたもの

つまり、三葉と瀧の体の入れ替わり、そして彗星落下の日に瀧が三葉の中に入って彗星落下を阻止するため奔走すること……すべてが1000年以上前から仕組まれたことだったのです。

こう考えると、彗星を呼び寄せる力のある糸守という町の不思議さ、そして、その自然の驚異でさえも跳ね除ける力のある宮水の不思議さが際立ちます。

伏線考察その5┃町長の父親

三葉の父は糸守の町で町長をしています。母の死後、別居している父親と三葉らは、あまり仲が良くないよう。三葉が糸守に彗星が落下すると父親に進言したときも、妄言と一蹴。しかし、最終的にはかなりすんなりと三葉の意見を聞き入れ、糸守の町を守ることに成功しました。

果たして、父親はどうして三葉の意見を聞き入れたのでしょうか?これも、いくつか伏線が張られていますが、実は映画の中ではあまり詳しく描かれていないことも。ここでは小説版も参考にしつつ、まとめてみます。

三葉の中に瀧が入っていることを見破った!

冒頭から父親は宮水神社の重要性のことをあまり考えず、自分の人生を生きたいということで、三葉の母・二葉の死後、祖母・一葉と対立し、家を出て糸守の町長となったといういきさつが展開されます。

いわば、宮水の不思議な力を否定している信じていないような父親なのに、町長室に飛び込んできた三葉の中に瀧が入っていることを瞬時に見破りました。これ、若干不自然ですよね。

どうして、そういう不思議な力全否定の父親が見破れたのか…。それは、やはりそういう力を過去にうっすらとでも経験したことがある…ということではないか、と思うのです。

父親が町長であることの意味

一葉と喧嘩して家を出るとなったとき、なぜゆえ糸守の町にとどまったのか?という謎があります。「娘を近い距離から見守りたかった」という思いがあったのかもしれませんが、それだけではなく、やはりここにも糸守の宮水の…不思議な力が働いていると考えて良さそうです。

つまり、彗星落下のあの場面で町民全員を避難させられる力を持つのは町長の父親のみ、ということ。1200年前の彗星落下事故のときから既に三葉の父親が糸守の町長を務めることは決まっていたということです。

父親が三葉の説得に速攻で応じた理由

彗星落下直前のドタバタ感。あの寸暇では、三葉が父親を説得するのは無理なのでは?と思った方が多いと思います。あまりにすんなり応じた父親の対応に違和感を覚えたという方も。

しかし、上記のような経緯を父親が感づいたと考えれば、あのタイミングですんなりと糸守町民の避難号令をかけたというのは合点がいきます。

まだまだある『君の名は。』伏線!


出典:映画『君の名は。』公式Twitter

『君の名は。』の伏線について、代表的なものだけ集めました。これらを理解しておけば、とりあえずスッキリと観ることができるはず!しかし、実際はまだまだたくさんの伏線が隠されています。本当に『君の名は。』の伏線は神がかっていますよね!

もっと深く裏側を知りたいなら、小説版がおすすめです。角川のスニーカー文庫から出版されている『君の名は。 Another Side:Earthbound』。これを読めば、瀧と三葉だけでなく、四葉や三葉の父親のことまで「なるほど!」と納得がいきますよ。

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