鑑賞後にモヤモヤする!後味が悪い映画作品のオススメTOP15を紹介





勧善懲悪、単純明快。せっかく映画を観るなら、現実のことは忘れて楽しみたいですよね。でもたまには、モヤモヤ感を味わいながら考察を楽しみたくなる時もあるのではないでしょうか。今回は、そんなモヤモヤ感を味わえる、“後味が悪い映画”のオススメTOP15をご紹介します。ただし鑑賞には心の準備が必要です・・・。

第15位『ヴィクトリア』140分ノーカットで描いた結末に注目!


ヴィクトリア(出典:Amazon)

夜の街で犯罪に巻き込まれていく若者たちを、なんと140分ノーカットで描いたとんでもない作品です。

大まかな流れが書かれた数ページの台本だけを用意し、ほぼ全編がアドリブで演じられています。一ヵ所に留まらず街中を移動しているのですが、その場で起きたトラブルさえも作品の一部にしていてかなりの臨場感があります。冒頭の平和なやり取りから徐々に加速していき、後戻りすることができない緊迫感もなんともリアルで手に汗握ります。それまでの流れがあるからこそ活きる、一度しか撮れないオンリーワンの結末に目は釘付け。ですが、後味は悪いです。

第14位『CURE』人間の奥底に眠る本質に鳥肌が立つ!


CURE(出典:Amazon)

正直に言います。今作は一度鑑賞しただけでは理解ができません。理解したフリはできますが・・・。倫理、道徳、法律。それらは人間が人間として生きていくために必要な物であるように見えますが、逆に人間としての本質を封じ込めるものでもあります。

今作ではそんな本質を催眠術の“癒し”によって呼び覚まし、観ているこちらの感覚をも麻痺させてきます。伝道師によって伝播していく“癒し”が閉塞的な人間社会に何をもたらすのか。固定概念を捨てて、ぜひ体感してみてください。主人公・高部を演じる役所広司の顔つきや言動が少しずつ変化していく姿には鳥肌が立ちます。

第13位『藁の盾』藤原竜也が魅せる絶対的な“悪”にシビれる


藁の楯(出典:Amazon)

懸賞金が懸けられ命を狙われる殺人犯を、本意に反して護ることになった警視庁SPの闘いを描いたクライム・サスペンス。

なんと言っても藤原竜也が演じた殺人犯・清丸国秀!これまでいくつもの作品で所謂「クズ」と呼ばれるような役を演じてきた藤原竜也ですが、今作ではもう突き抜けていてむしろシビれるくらいです。彼の地の果てまでも行く絶対的な“悪”が鑑賞後も頭に残ります。

彼の命を狙う人物がどこから現れるのか?身内に裏切り者がいるのか?誰も信用できず疑心暗鬼になっていく主人公たちのハラハラドキドキ感も楽しめます。ラストの清丸のセリフは本当に後味が悪いです。

第12位『少年は残酷な弓を射る』歪んだ愛が生んだ悲劇にゾクり


少年は残酷な弓を射る(出典:Amazon)

これを親子愛と呼んでいいものかどうか。筆者のような常人には理解できませんが、でも確かにそこに感じたのは愛で、それをどのように解釈するのかによって今作への印象は180度変わると思います。

ある事件を境目にして、事件が起きるまでの過程と事件後の陰惨な出来事の連続が並行して描かれ、母から息子、そして息子から母への想いが共感できるようでできない絶妙なラインで表現されています。歪んだ愛が生んだ悲劇にゾクりとするこの内容、子を持つ母親にとっては一番後味が悪い作品かもしれません。

第11位『オールド・ボーイ』男はなぜ15年間も監禁されたのか?


オールド・ボーイ(出典:Amazon)

ある日突然拉致され15年間監禁された男が、その相手を捜し出し復讐することを決意するアクション・ミステリー。

今作が面白いのは、監禁されたこと自体よりも、外に出てからの犯人捜しとその理由の追求に焦点を当てているところです。誰に?なぜ?自分は監禁されたのか。それを追い求めるうちに見えてくる主人公の過去と人間性、そして周囲の人物たちの様々な感情が入り混じって、最後には人間の業の深さを目の当たりにする韓国映画らしい、陰鬱でありながらも惹き込まれる結末が待っています。現実から空想へ、空想から現実へと移行していく時のパク・チャヌク監督の独特な繋ぎ方も必見です。

第10位『イット・フォローズ』新しい恐怖の描き方が秀逸!


イット・フォローズ(出典:Amazon)

これはかなり挑戦的な作品です。アイデアそのものも奇想天外ですが、常に恐怖がそばにあるということをどのように観客に植え付けるのか。そのあたりのコントロールも秀逸で、今後のホラー映画に少なからず影響を与える作品のように感じます。

登場人物が気づいていないのに、こちらが“それ”に気づいてしまったときのザワザワ感はなんとも形容しがたい感覚です。仲間たちと“それ”に立ち向かう青春映画としての一面もあり楽しめます。そしてラストはもう・・・『8時だョ!全員集合』の志村けん状態です。それしか言えません。

第9位『それでもボクはやってない』司法制度に疑問を投げかける


それでもボクはやってない(出典:Amazon)

周防正行監督が長期に渡って徹底的な取材を重ね、刑事裁判が抱える問題に疑問を投げかけた意欲作。

切り口は痴漢冤罪という身近に起こりうる事件ですが、日本の司法制度全体への問題提起にもなっていて、実態を細かく捉えた描写にこちらの心も揺さぶられます。テンポが良く堅苦しくもないため娯楽作としても十分に楽しめますが、観客の希望を打ち砕くセリフや展開の数々は後味の悪さとして心に残ります。

第8位『DEAD OR ALIVE 犯罪者』開いた口が塞がらないとは正にこのこと!


DEAD OR ALIVE デッド オア アライブ 犯罪者(出典:Amazon)

初めて今作を鑑賞した時、開いた口が塞がりませんでした。「これまでの話は一体なんだったんだ!」と、信じがたい気持ちでいっぱいでした。哀川翔や竹内力といったVシネマのスターたちを揃え、不穏な空気の中で進んでいく警察VS中国マフィアVSヤクザの抗争。どう決着がつくのか予想もつかない物語の最後に三池崇史監督が用意したものは、とんでもない結末でした。

監督は当時まだVシネマに片足を突っ込んでいた時期なので、とにかく暴力描写が痛々しいですが、それさえも吹き飛ぶ結末です。後味が悪いどころではなく、グロテスクな描写もあるため、鑑賞は自己責任でお願いします・・・。

第7位『プリズナーズ』娘への愛が父親の手を血に染めていく


プリズナーズ(出典:Amazon)

行方不明となった娘を探すために見境を失っていく父親の葛藤を描いた今作。

人間は、自分とは無関係の出来事に関しては善悪や正誤を基準に物事を判断しますが、いざそれが自分の身に降りかかると途端に冷静な判断ができなくなり、愛する者のためならその手を血に染めることも厭わなくなります。そんな父親の暴走、そして終盤に明かされる真実。その2つが重なり迎える結末は、後味が悪いという表現以外に表すことができません。

ポール・ダノ演じるアレックスに対しては「え?どっちなの?」の連続で、鑑賞中は本当にモヤモヤさせられます。

第6位『縞模様のパジャマの少年』目を背けたくなる人間の残酷性


縞模様のパジャマの少年(出典:Amazon)

少年の視点から戦争の残酷さを描いた今作ですが、暴力的な描写はほとんどありません。戦場も出てこず、少年が住む家と、その近くにある強制収容所が主な舞台となります。柵を隔てて出会った、ドイツ軍人を父に持つ少年とユダヤ人の少年。彼らが無邪気であればあるほどにこちらの心は締めつけられ、人間の心に潜む残酷性から目を背けたくなります。終盤の加速的な展開、そして信じがたいラストに鳥肌がおさまりませんでした。

第5位『怒り』人は何を以てして人を信じるのか?


怒り(出典:Amazon)

東京、千葉、沖縄を舞台に、3つのストーリーが同時進行で進んでいきます。自分にとって大切な存在となった人が、逃亡中の殺人犯だったら?一度浮かんだ疑念は簡単に消えることはなく、人は何を以てして人を信じるのか、そんな人間の「信じる心」のようなものをえぐられます。ヒューマンドラマでありながらも、社会的な問題も取り扱われていて、二重三重で心にのしかかってきます。特に沖縄編での広瀬すずには驚かされました。

第4位『ジョニーは戦場へ行った』戦争の恐怖は永遠に続く


ジョニーは戦場へ行った(出典:Amazon)

今作もなかなかの後味の悪さです。後味が悪いというより、終始ずっしりと重い物を背負っているような感覚になります。

戦争によって人生を奪われてしまった青年の独白を主軸に物語が進んでいくのですが、もうこれが見ていられなくなるくらいに自己投影をしてしまい辛くなります。もし自分がこうなってしまったら?その考えが頭から離れず、しかし根底にあるメッセージに胸を打たれ、辛いながらも今自分が生きている意味を再認識させられます。これは時間が経っても忘れることができない作品です。

第3位『ダンサー・イン・ザ・ダーク』闇に身を投じる恐怖体験


ダンサー・イン・ザ・ダーク(出典:Amazon)

「鬱映画」と称されるほどの作品群を持つラース・フォン・トリアー監督による、資本主義社会に一石を投じた今作。

共産主義者の主人公が資本主義社会の闇に飲み込まれていく様子を、観客自身もその闇に身を投じて体験することができる作品です。資本主義は合理的で利点もあるが、それはその陰に隠れた犠牲者たちがいるからではないか?そんな疑問を抱えつつ、この闇から抜け出せなくなった主人公をただ見ることしかできず、自分が日常でいかに見て見ぬフリをしているのかを実感させられます。それにしてもこのラストは後味が悪すぎます。

第2位『レクイエム・フォー・ドリーム』謎の中毒性を持つ作品!


レクイエム・フォー・ドリーム(出典:Amazon)

個人的には1位と僅差での2位です。ダーレン・アロノフスキー監督作は鑑賞後に気分が沈む作品が多いですが、今作はその中でも徹底して救いのない作品です。

薬物中毒に陥る男女が堕ちていった末に待っているものとは?ぜひご自身の目で確かめてみてください。鑑賞後にはかなり気分が沈みますが、作品そのものはとてつもなく面白く、なによりこの作品自体にも中毒性があります。特にテーマ曲は鑑賞後しばらく経っても耳から離れません。今作を薬物撲滅キャンペーンの教材に使ったら誰も薬物に手を出さなくなるのではないか・・・なんて考えてしまったり。

第1位『ミスト』The“後味が悪い映画”の代名詞!


ミスト(出典:Amazon)

これこそ“後味が悪い映画”の代名詞とも言える作品ではないでしょうか。

霧で覆われ異次元の怪物が現れた世界を舞台に、人間の愚かさや脆さを描きつつ、とんでもない結末を用意してくれています。スティーブン・キングの中編小説『霧』が原作ですが、ラストは映画オリジナルのものなので原作を読んだ方でも予想できないかもしれません。怪物という外的要因で追い詰めつつも根本的なメッセージは人間の真理を追究したもので、ラストだけでなくストーリーそのものにも惹き込まれます。