連載開始から35年以上続くサッカー漫画の代表作『キャプテン翼』。新アニメ始動の情報を受けて原作に再び注目が集まっています。最近の展開はつまらない、そういった意見も多く見かけますがその原因はどこにあるのか、ファンの視点から独自に分析。新アニメに期待するファンの声などもまとめました。
記事の目次
2018年4月『キャプテン翼』15年半ぶりのアニメ放送
声優も一新!大空翼役に三瓶由布子、若林源三役に鈴村健一
「ボールは友達」で有名な、1980年代に大人気となったサッカー漫画『キャプテン翼』(高橋陽一原作)はこれまでに何度かアニメ化もされ、劇場版も作られてきました。その人気は、現実の日本のサッカー界にも多大な影響を与え、現在日本のサッカーがワールドカップの常連のようになっているのもこの作品があったからだ、ともよく言われています。
その『キャプテン翼』が声優陣も新たに、2018年4月から新アニメの放送が決定しました。新アニメキャストは、大空翼役に三瓶由布子、若林源三役に鈴村健一、崎太郎役に福原綾香、日向小次郎役に佐藤拓也など、人気声優が演じることが決定しています。
描かれるのは小学生時代
今回の『キャプテン翼』で描かれるのは、公式動画からも分かりますが小学生時代のようです。小学生編はファンの間でも人気の高いところですし、翼の初登場から描けるので初めて見る層にとっても分かりやすく、取っつきやすいかと思います。また、翼にとって今後もずっと関わっていくことになるライバルたちともこの時代に出会うので、ここで初めて『キャプテン翼』にハマったという方にも、原作コミックに興味を持ってもらえるかと思います。
公式動画を見ると、「バスの下からパスを通す」という例のシーンも含まれるようですし、往年のファンにとっても懐かしく、嬉しいですね。子供が真似したら危ない、という意見も出ているようですが、ここは思い切ってそのまま再現してくれてよかったと思います。このシーンがあるならきっと「京〇線の上りと下りのホームでパスをし合う」あのシーンもあるに違いありません。どこまで原作通りに再現されているのか期待したいところです。
『キャプテン翼』漫画の小学生編以降のあらすじと現在
中学時代、ジュニアユース時代、それ以降のあらすじ
『キャプテン翼』は小学生編までしか知らない、という方のために、ここで少し、中学生編、ジュニアユース編、その後のあらすじをご紹介します。
岬、若林といった、翼にとって心強い存在だった2人が南葛市から去った後、南葛中学に進んだ翼はそこでもサッカー部に所属、南葛中を2年連続で優勝に導きます。主に描かれているのは3年生の時で、打倒翼を目標にそれぞれ特訓や練習を重ね、攻略法を編み出してきたライバルたちとの激闘が描かれています。特に決勝戦の南葛中VS日向率いる東邦学園中の試合はファンの間でも「名試合」と高い評価を得ているエピソードですので是非読んで頂きたいところです。
ジュニアユース編では、序盤は翼が怪我を理由に参加していなかったり、チームのキャプテンが定まらずに迷走、さらに練習試合でボコボコに負けてしまうという不穏な雰囲気で始まります。しかし翼が復帰、また海外で活躍していた若林と岬が日本チームに合流するとまとまりを見せ、世界の強豪相手に苦戦しながらも前に進んでいく…というストーリーが描かれています。日本チームだけでなくどのチームも魅力的に描かれているので個人的には好きなエピソードです。
ここまでがいわゆる「無印編」で、一旦連載は終了しますが、その後1994年から「ワールドユース編」がスタート、ワールドカップと連動した「ROAD TO 2002」や「海外激闘編 EN LA LIGA」などで高校以降の翼らの活躍を描いた作品が発表されていきました。
『キャプテン翼 ライジングサン』は休載しながらの連載中
2018年1月現在、漫画『キャプテン翼』は「ライジングサン」が「グランドジャンプ」にて連載中です。翼たちの世代は「ワールドユース編」以降皆プロの道に進み、このライジングサンでは翼がU-23のキャプテンとしてチームを率い、オリンピックでの優勝を目指すストーリーが描かれています。
これまでのシリーズでもたびたび休載や打ち切りなどありましたが、ライジングサンでも長いこと休載を挟み、また再開したりと無印の頃に比べると安定感はありません。ワールドカップやオリンピックなど、現実の世界の動きと合わせていたりするのでそこは面白い試みだと思うのですが、「キャプ翼」の黄金時代を知っている者からすると最近の漫画はどうしちゃったんだろう?と思わざるを得ない部分もあります。ただ、開始からもう35年以上、連載が続いていることや、全シリーズ合わせて単行本が100巻に到達したことは凄いことだと思います。
『キャプテン翼』はつまらなくなった?原因はどこにあるのか
中途半端なリアリティを追求した結果、キャラの個性が失われている
キャプテン翼 ROAD TO 2002 15(出典:Amazon)
「ライジングサン」に限らず、無印以降の作品については、残念ながら、ファンの間からは「昔ほど面白くない」「つまらない」といった声が多く上がっているのも事実です。では、その原因はどこにあるのでしょうか。
まず一つに、プロ入りした彼らに明らかに小中学生のあの頃の輝きが見られないこと、にあると思います。高校を卒業した彼らは国内外のプロのリーグに所属するのですが、例えば国内なら実在するJリーグのチームだったり実在する選手をモチーフにしたキャラを登場させてきたりしたことで、彼らの先輩にあたる偉大な選手の格を落とすわけにもいかないため、どうしても彼らの実力を下げざるを得なかったのだろうと思います。
でも小中学生の頃の彼らはオーバーヘッドキックをなんなくこなしたり(着地も完璧だったり)、現実のサッカー界では習得すら難しい技をバンバン決めてきていたわけです。普通に考えればそんな彼らの方が「現実のプロサッカー選手」より実力は当然上だと思うのですが、そのあたりの「ねじれ」が、あの黄金時代を知っているファンからするとじれったいというかもどかしい感じに見えてしまうわけです。
大きなコマ割の多さとストーリーの進み具合の遅さ
それから、最近のコマの使い方に対して少々疑問に思うことが多い、というのも原因の一つかと思います。漫画のコマ割りは作者それぞれのクセや特徴、センスが表れる部分だと思いますが、それを抜きにしても最近は見開きで2コマ(1ページ1コマ)とか4コマとか、しかもただ2つに分けただけのものだったりで、素人目にもお世辞にもセンスが良いとは言えず、ファンからは「紙芝居」などと言われてしまう始末。でもこれは決してけなしているのではなく、無印時代のコマ割りはとても素晴らしいものがあった、ということを、ファンが知っているから言えることなのです。
また、ストーリーの進行が遅い、ということも挙げられるかもしれません。もしかするとストーリー展開のせいでコマが大きくなっているのかもしれませんが、シュート体制に入ってからゴールまで1話使う、パス1本通すのに1ページ、などがあまりに続くとさすがにもう、単行本待った方がいいかなと思ってしまいますね。
無印の頃も、見開きで1シーンのみ、という表現はよく使われていましたが、今見ても迫力と躍動感が全然違うなあと思います。あの頃のすばらしさを知っているだけに、どうしても比べてしまうんですね。これも、ファンとして仕方のない心理かと思います。
あの頃を支えてきた旧キャラのかませ感
もう一点、大きな原因として挙げられるのが、無印時代から翼と共に頑張ってきたキャラたちのかませ度がひどい、という点でしょうか。シリーズも長いですからそのたびに新キャラが登場してくるのは分かりますが、それにしてもそのキャラを際立たせるために、昔は翼と互角に戦いを繰り広げてきたキャラの扱いを下げるというのは、これは昔から作品を、キャラを愛してきたファンにとっては辛いです。
翼は主人公ですから常に強キャラとして描かれているわけですが、あの翼と完璧なコンビプレイのできる岬や、中学大会でその翼と引き分けにまで持ち込んだ日向などの実力が下げられすぎていて、パワーバランスが取れていないという矛盾を感じてしまうのです。せっかく旧キャラたちも皆、努力して新技を習得したりと、そういったところもきちんと描いてくれているだけに、その点がおろそかになっている気がしてしまうのです。新キャラももちろん魅力的ではあるんですが、旧キャラも大事にしてほしい、古くからのファンの心情としてはそれなのだと思います。
新アニメは黄金時代の人気を取り返せるか?
新アニメに対するファンの声
四月から鬼太郎の新アニメやるのは知ってたけど、まさかキャプテン翼も始まるとは驚いた!😳昔の作品がリメイクされるのは嬉しいね♫今から楽しみで仕方ない😆
— 弥勒 (@miroku4649) January 19, 2018
彼に憧れた人がプロに入ってくるのが楽しみ・・・ってスポコンもの全部に言えるからキャプテン翼見た子がサッカー好きになってくれれば良いなって15年前から思ってる
— するめた*@オルスタ楽しい (@d2b_DD_CaS) January 3, 2018
来年の4月からキャプテン翼が始まるとか🎵兄の影響で大好きになったアニメ楽しみだな😃
— skrfuru (@skrfuru) December 29, 2017
キャプテン翼は、小学生の時漫画をがっつり読んでたなぁ。原作通りのアニメ化すごく楽しみ。#unison1134
— むう@lo-opは続く (@Dream_W_1528) December 21, 2017
キャプテン翼の再アニメ化によって「スカイラブハリケーンのマネをして擦り傷をつくる」という経験を親子で共有できることは、素晴らしいことだと思う
— シュターデン提督 (@AdmiralStaden) December 13, 2017
『キャプテン翼』新アニメに期待するファンの声は結構多いようです。リアルタイムだった世代の方も、後追いの方もいらっしゃいますが原作通りならきっと面白くなるはず、という意見がほとんどですね。筆者もそう思います。また、リアルタイムで追っていた世代だとお子さんがいらっしゃる方もきっと多いですよね。親子で楽しめそう、といったコメントも見かけ、なんだかほっこりします。今のお子さんたちが『キャプテン翼』の世界を見たらどういう感想を持つのかも興味がありますね。
やっぱり『キャプテン翼』は面白い
ここまで色々、不満点なども含めて書いてきましたが、今の漫画が「つまらない」と思うのはあの頃の輝きを知っているからこそですし、それでも『キャプテン翼』という作品を愛しているからファンはついていくんだと思います。今回アニメ化の発表を受け、「楽しみ」という意見が多くみられるのも、やっぱりみんな「キャプ翼」が好きだからなんだ、と改めて感じました。
翼がオーバーヘッドキックを習得した瞬間や若林のワンハンドキャッチ、翼と岬のツインシュート、立花兄弟のスカイラブハリケーン、日向のコンクリートを砕くほどのシュート…あの時受けた衝撃をファンはきっとまだ忘れていないでしょう。単に「昔はよかった」ということではなく、もし今回のアニメから初めて入った、そしてとても楽しめた、という方がいれば是非原作もお読みすることをおすすめしたいですし、がっつりハマって頂きたいなと思います。