ついに37巻にて終結を迎えた『マギ』。アラジンたちは世界を救うことはできたのでしょうか。また、その展開を読者はどのように感じたのかを、ファンの目線と感想を交えながら紹介して行きます。
37巻で完結を迎えた『マギ』!その結末は?
金属器使いvs金属器使い
アラジンやアリババなど、ルフの書き換えの影響が及んでいない者たちが、ダビデの計画に必死で抵抗していました。そして、アリババがダビデの本体の元へ向かっている間、アリババがひとりでルフに還りたがっている世界中の人々と対峙します。しかし、いくらアリババが金属器使いでも、ひとりではどうにもなりません。次第に他の金属器使いたちが、世界中から集まりアリババの前に立ちはだかります。
まさに最終章だからこその金属器使い全員集合といった描写が超豪華です。これまで、ルフの書き換えの影響が及ばなかったのは、アリババ、アラジン、白龍、ジュダル、ネルヴァの5人だけだと思われていましたが、最終巻ではさらに2人の金属器使いが現れました。
ルフの書き換えが及ばなかった味方が登場!
アラジンの練金魔法で眠っていたため、ルフが書き換えられずにいた練白瑛。そして、練紅炎も白龍が堕転していた頃のルフが混ざっていたため、書き換えの影響が及んでいなかったのです。更なる強い味方が現れたことで、徐々に形勢逆転。しかも、紅炎の影響はとても大きく、フェッニクスの力でルフの影響を受けた者たちの行動を封じました。
一方、聖宮ではシンドバッドとダビデ双方の意志が空回りを始め、シンドバッドが神として、人々に過酷で自由な道を課すという決定によってルフの書き換えが解かれました。しかし、書き換えが解けてもダビデの計画は最終段階に入っていたため、世界では崩壊の一途を辿ります。冷静な紅炎が激怒するシーンは最高です。紅炎は、金属器使いのなかでシンドバッドに継ぐ3つのジンと契約してる金属器使い。味方でいると心強い、敵に廻したくない人物ですね。また、一度はアルバに体を乗っ取られた白瑛も、書き換えの影響が及ばなくて良かったの一言です。
ダビデも”特異点”に振り回されただけ?
ダビデは、聖宮の力を借りて世界をルフに還し、神々と戦うことこそが正しいと思っていて、聖宮は理想的で万能な存在だと思い込んでいたからこそだと、シンドバッドはいいます。それはあくまでも理想的な世界ではなく、ダビデもその夢に目がくらんでいただけ。もはや、ダビデ自身も自分の意志で生きてきたのではなく、自分が特異点だと思い込んでいたことが原因でした。そしてアラジンもダビデに問いかけます。
アラジン「なぜ、そんなことをしたんだい?」
ダビデ「『運命』の先を見るためだ。私は選ばれた存在だからね!」
アラジン「誰から、選ばれたんだい?」
ダビデ「わからない。だが私は『特異点』だから、『運命』のままに世界を導いたのだ!!」
アラジン「なぜ、そんなことをしたんだい?」
ダビデ「私は選ばれた存在だからね。」
アラジン「誰から、選ばれたんだい?」『マギ』37巻から引用
誰かに「特異点」だと言われたわけではなく、誰かに「選ばれた」わけでもなかったダビデ。長い間、誰とも関わっていなかったため、自分で自分が選ばれた人間だと思い込み、「選ばれた人物像」を作り出しただけだったのです。それを、何度も同じ問いかけをすることで、アラジンはダビデの思い込みを気づかせようとしたんですね。
”アリババは最後までアリババ”それが功を奏した
ルフに還る影響が解けたものの、世界の崩壊は止まらず、聖宮が崩壊する前に、世界中にある迷宮のすべてを破壊しなければ、世界中のルフが書き換えられてしまいます。でも世界に散らばった迷宮を破壊するには時間が足りません。そこでシンドバッドからの提案は、金属器の力をひとつに絞るということでした。王を一人に絞り、他の金属器使い14人が死ぬことで、王に金属器使いの力をすべて集結させるというもの。かつて、シンドバッドがセレンディーネからゼパルを受け継いだときのように……。
そこでアリババが王に相応しいと提案したシンドバッド。他の金属器使いも覚悟を決めて、いざというときアリババからは「いやです」。そりゃ、緊張感が高まっているなか、こんな答えが返ってきたら、みんな驚くというか拍子抜けしてしまうでしょう。でも、もう自分でやりたいことぐらいは、自分で決めましょうという、それがアリババなのです。アリババが最後までアリババだったからこそ功を奏した結末です。もうクズなんていない、それが新しい世界だと……。
駆け足?打ち切り?ファン目線での感想
展開が早過ぎて終結にスッキリしない!?
とうとう幕を下ろしてしまった『マギ』。その結末を読者はどう思っているのでしょうか。ファン目線で言うのであれば、展開が早過ぎてスッキリ感が感じられません。あれだけ大きな騒動が起きたのに、最後はダビデも特異点と思い込んでいた、結局自分の意志ではなかったと言うのも、あまりにも呆気ない幕引き。
かつて、アルマトランを滅ぼしたほどの強敵だったダビデの結末は、勝手な思い込みという、あまりにも小さな理由でした。しかも、ルフに還る影響を受けていた人々が、その影響から解き放たれたのも、ダビデが自分の考えに疑問を感じ、シンドバッドと意見が決別したから。もう少し、大きな理由がほしかったというと嘘になりますが、ほんの些細なことが大きな問題に繋がるという、作者からのメッセージにような気もしますね。
シンゴジラ見て、落ち着いてからマギ最終巻読んだんですけど、なんか、展開早すぎて、なおかつ伏線の回収がしきれてないように感じた…不完全燃焼っていうのかな、私はすっきりしない終わり方だった……
— かふぇもかねこ (@cafemoca_nya) November 18, 2017
マギ最終巻買ったけど
ほんのり打ち切り臭感じた— すけきよ (@tuun45104711) November 26, 2017
また、あまりにも駆け足で終結しているので、打ち切り感を匂わせているという感じがしないでもありません。確かに、無理矢理終わらせた印象は否めませんが、ラストの「アラジンとアリババは未知なる大地の扉を開き冒険の旅に足を踏み出した」とあるので、もしかしたら特別編でその後の物語が描かれることもあるかもしれませんね。また、漫画アプリ「マンガワン」で外伝『シンドバッドの冒険』が連載中なので、『マギ』と関わりを持たせる展開とかも、ありうるかもしれません。
未回収の伏線はどこに?
『マギ』では、最終章を迎えても未だ回収されていない伏線もあります。たとえば、32巻317夜に書かれた、「最初のシンドリア王国」が滅びた理由とか、八人将がいる理由というのもそのひとつ。また、シンドバッドがなぜ「七海の覇王」と呼ばれるようになったのか、アルテミュラやササンなど同盟国との関わり、アラジンの父の剣をなぜ持っていたのかなど、数えきれないほど未回収の謎があります。
ただ、これらは『マギ』だけを読むだけでは解決しないのです。なぜなら、『マギ』で回収されていない謎は、外伝で回収されていることが多いということ。シンドバッドは『マギ』で登場した時は、すでに七海の覇王であり、シンドリア国の王でした。なので、『マギ』だけでなく、同時に外伝を読み進めていくと、謎が解けるものもあるので、ぜひ合わせて読んでいただければと思います。
マギロスと新たな伏線は続編への期待!?
長い間、ファンに親しまれていた魔法冒険譚『マギ』の最終話に、マギロスしている方たちも多いことでしょう。2009年から連載が始まってから8年以上愛され続けていた人気作品ということで、続編への期待も高まります。37巻最終話のアルバのセリフに「やれやれ、世界はまだ続くのね」とあります。『マギ』の世界はまだ続く、という作者からのメッセージだとすると、続編の可能性もゼロではありません。
また、先ほど言ったようにアリババとアラジンが「冒険へと足を踏み出した」のであれば尚更期待できそうですね。しかし、金属器使いやマギシステムも無くなった世界では、続編での世界観はどうなるのか気になるところではあります。ただ、外伝は続いているので、もしかしたらという期待を持っていきましょう。