一言で失恋と言っても、その形は様々です。片思いにしてもカップルにしても、人の数だけ失恋の数もあります。今回は、そんな失恋をした時に本当に観るべき恋愛映画10作品をご紹介します。笑って、泣いて、自分と重ねて・・・次の恋愛に向けて新たな一歩が踏み出せる映画と出会ってみませんか?
記事の目次
『エターナル・サンシャイン』(2005年/アメリカ)
恋と記憶にまつわるSFラブストーリー
別れた恋人との記憶を消すことを決意した男のSFラブストーリー。記憶を消すというアイデアは映画では多く使われていますが、今作が面白いのはその描き方です。このSF的要素が日常に寄り添うような形で描かれることによってリアルさを帯びているため、自身の経験に重ねて感情移入することができます。これを機に恋の記憶と向き合ってみるのもいいかもしれません。
綿密なシナリオの仕掛けに唸る
アカデミー賞で脚本賞を受賞したのも頷けるほどの綿密なシナリオも今作の特筆すべき点です。冒頭で頭に浮かんでいた「?」が、物語が進むにつれて取り払われていき、最後には唸る仕掛けが待っています。失恋した時に観るべき物語ですが、その完成度の高さに失恋の記憶も飛んでしまうかもしれません。
『小さな恋のものがたり』(2005年/アメリカ)
苦くて甘い初恋の記憶がよみがえる!
幼馴染に恋をした少年が、恋の甘さも苦さも知りながら成長していく物語。今作は主人公の少年・ゲイブの視点を通して描かれているのですが、初々しくありながらもどこかリアルで、かつて初恋をした時の記憶がよみがえる隠れた名作です。失恋した時にこそ、初恋を思い出して恋というものを見つめ直してみませんか?
微笑ましくて温かい気持ちになる
今作の登場人物は少年少女だけでなく大人にも微笑ましくて魅力的な人物が多く、クスりと笑わせてくれるユルいコメディ要素もあり、鑑賞後にはとても温かい気持ちになります。もちろん全てが丸く収まるわけではなく、うまくいかないこともしっかりと描かれているため、説得力のある「恋のものがたり」で心を癒してくれるはずです。
『そんな彼なら捨てちゃえば?』(2009年/アメリカ)
多種多様な恋愛観に触れられる恋愛群像劇に共感
様々な悩みを抱えた男女が、恋愛を通して自分なりの道を見つけていく恋愛群像劇。夫婦やカップル、そして恋人がいない男女など、多種多様な恋愛観を持った登場人物たちを通して恋愛のカタチが描かれています。登場人物たちのセリフには共感できる部分が多いため、今抱えている悩みと向き合うきっかけになるかもしれません。
単なるハッピーエンドでは終わらないのが面白い
当然のことですが、全ての登場人物の物語がハッピーエンドで終わるわけではありません。うまくいく恋もあれば、うまくいかない恋もあり、曖昧なままの恋もある。そのリアルな恋愛模様が私生活とリンクしてさらなる共感性を得ることができ、そして、それでも次の道へ進む彼らを見れば新しい恋への活力を取り戻すことができるはずです。
『(500)日のサマー』(2010年/アメリカ)
全ての失恋男子に捧げる最高で最悪の500日
魅力的だけどどこか掴めない女性に恋をした男の、出会いから別れまでの500日間を描いた物語。はっきり言って今作は失恋男子こそ見るべき作品です。主人公トムが恋愛観のまったく異なる女性サマーと出会うのですが、翻弄されているのが分かっていても好きになってしまう男の性(さが)のようなどうしようもなさに共感すること間違いなしです。
500日間の描き方が秀逸で映像面も文句なし!
今作で特筆すべきなのが、500日間の描き方です。時系列をバラバラにすることで最後まで何が起こるか分からないドキドキ感を味わいつつ、トムの心情をより身近に感じることができます。また、ミュージックビデオ畑出身のマーク・ウェブ監督による映像表現は文句のつけようがないくらい独創的で、この点も楽しめるポイントになっています。
『ルビー・スパークス』(2012年/アメリカ)
理想の相手について考えさせられる作品
落ち目の小説家と、現実の世界に現れた“彼が書いた女性”の出会いを描いたラブストーリー。理想の相手が目の前に現れるという誰もが妄想したことがあるシチュエーションを題材にした今作では、たとえ理想の相手であっても自分の行動次第で是非が変わるという皮肉が幻想的に描かれています。理想の相手は、自分自身と向き合うことで初めて出会えるのかもしれません。
ゾーイ・カザンの魅力と才能に惚れる
今作で製作総指揮、脚本、そしてヒロインのルビー役を務めたゾーイ・カザン。今作の完成度を見ればその才能は身に染みるほど感じることができますし、ルビーを演じた彼女の一挙手一投足がまた魅力的で、惚れずにはいられません。失恋した時の傷を癒やすと同時に、彼女の才能と魅力でその辛さを忘れることができる作品でもあります。
『世界にひとつのプレイブック』(2013年/アメリカ)
心に傷を負った男女のヒューマンラブストーリー
妻に逃げられた男と夫を事故で亡くした女が、傷つきながらも理解を深めていくヒューマンラブストーリー。ひと癖ある登場人物たちによるセリフの応酬がとにかく面白く、特に主人公2人の会話は笑える反面、自分に向けられているようでグサりと刺さるものがあります。2人が苦悩を乗り越えていく姿を見れば、今の自分にとって必要なものが見えてくるかもしれません。
本当に大切な人は出会った時には気づかない
パットとティファニーの2人は互いの心の傷に触れ徐々に惹かれあっていきますが、出会った時からというわけではありません。最初は嫌味を言い罵り合っていましたが、やがてお互いがかけがえのない存在であることに気づいていくのです。もしかするとあなたにとって本当に大切な人は失恋をした相手ではなく、もっと近くにいる人やこれから出会う人なのかもしれません。
『her/世界でひとつの彼女』(2014年/アメリカ)
人工知能型OSとの恋を味わう不思議な体験
妻と離婚し悲嘆に暮れていた男の、人工知能型OSとの恋を描いた物語。人工知能搭載のアンドロイドとの交流を描いた作品はこれまでにもありましたが、今作では“声”のみのOSとの恋が描かれています。触れたくても触れられない、気持ちを止めたくても止められない、そんなもどかしさがいつの間にか現実の心情とリンクしていき、不思議な体験をもたらしてくれます。
失恋で得るものは悲しさだけではないと気づく
失恋というものは悲しさをもたらすものですが、今作が伝えようとしていることはもっと別の部分のように感じます。現実から離れながらも引き戻される瞬間が訪れる人工知能との恋を通して、失恋がもたらす多くのことが描かれていて、特にラストシーンの主人公の表情にそれが込められています。失恋から得られるものをより多く考えることも必要なのかもしれません。
『百円の恋』(2014年/日本)
痛くて苦しい、なのに爽快!
付き合っていたボクサーに裏切られた女が、ボクシングを通して自分を解放していく物語。今作はとにかく痛くて苦しいです。鬱屈としたものが充満していて、安藤サクラ演じる一子の不器用な生き方に心が痛みます。それなのに爽快なのが今作のすごいところ。もがいてもがいて、最後に彼女がたどり着いた場所に、あなたが求めている何かがあるかもしれません。
ラブストーリー×スポ根ムービー
今作が特徴的なのが、ラブストーリーとボクシングのスポ根要素が見事にマッチしているところです。顔つきが変わり心身ともに強くなっていく姿が恋愛パートと比例していき、彼女の放つ一発一発が、自分自身の恋に、そして人生に向けられているように感じます。安直な考えですが、失恋をした時は自分が本気で打ち込めるものを見つけるのもいいかもしれません。
『忘れないと誓ったぼくがいた』(2015年/日本)
相手を想うからこその選択に涙が止まらない
出会った全ての人の記憶から消えてしまうという少女と出会った少年の物語。今作には良い意味で裏切られます。高校生の日常を描きつつも、不思議な性質を持った少女とのファンタジックなラブストーリーもあり、ほろ苦く切ない日々が描かれています。と思いきや物語の展開は徐々に方向転換し、2人の相手を想うからこその選択には涙が止まりませんでした。
初々しさと成長過程に自分自身を重ねる
今作で主演を務めた村上虹郎は当時はまだ初々しさがあり、それが主人公・タカシの持つ少年らしさにマッチしていてスッと作品に入ることができます。物語が進むにつれて本人と役柄がともに成長していく姿が自身の青春時代と重なっていき、だからこそ得られる共感性は今作を鑑賞するうえで欠かせないものです。こういった恋の物語に触れるのもいいかもしれません。
『ラ・ラ・ランド』(2017年/アメリカ)
夢を持つすべての人に響く恋愛物語
夢を持つ2人の男女の恋愛物語を、テンポの良いストーリーと色彩豊かな映像美で描いたミュージカル映画。今作で再認識しましたが、ラブストーリーとミュージカルの相性はやはり抜群です。気分の浮き沈みや感情の微妙な変化が歌と踊りで最大限に引き出され、視覚でも聴覚でも存分に楽しめます。ストーリー面でも、夢を持つすべての人に響く物語です。
失恋も忘れる最高のミュージカル映画
なんと言ってもミュージカルパートです。夢を追う2人の物語にも惹き込まれますが、とにかくミュージカルパートが素晴らしいです。20~50年代のミュージカル映画を思わせながらも、どこか新しさもあり、なにより今作が持つ世界観が舞台となったロサンゼルスの雰囲気にマッチしています。失恋も忘れるほどの映画は次に踏み出す勇気をくれるかもしれません。