努力、友情、青春!少年少女の活躍を描いた青春部活映画10選





人生で一度しか経験できないものは数多くありますが、その中でも矢のごとく過ぎ去る青春は、どんな経験にも増して記憶に深く刻まれます。今回はそんな青春を描いた作品の中でも、少年少女たちの努力や友情に焦点を当てた青春部活映画10作品をご紹介します。

『シコふんじゃった。』(1992年/日本)

廃部寸前の相撲部が勝利を目指して立ち上がる!


シコふんじゃった。(出典:Amazon)

廃部寸前の相撲部に入部した大学生が、自分の弱さと向き合い仲間と共に勝利を目指す物語。部員それぞれの葛藤を描きながら、相撲部としての成長も同時に描き、そしてキャラクターを活かしたコミカルさも忘れない。その後の部活モノの映画にかなりの影響を与えた作品です。カット割りで誤魔化されていない、体と体がバチンッとぶつかり合う場面は最高です。

相撲の魅力を交えつつ、「文化」が持つ暗部を照らす

単なる力比べでは終わらない相撲の楽しさや魅力を交えつつも、文化というものが持つ暗部を照らしているのも今作の面白いところです。人種、性別、世代など、様々な異なる視点から文化の必要性を問います。「そういうものだから」と理由もなく受け入れてきたものを、若者たちが自分なりに解釈して取り入れていく様は一種の通過儀礼のようなインパクトがあります。

『ウォーターボーイズ』(2001年/日本)

男子シンクロブームを巻き起こした青春部活映画の金字塔


ウォーターボーイズ スタンダード・エディション(出典:Amazon)

シンクロナイズドスイミングをやることになった男子水泳部が、様々なトラブルを乗り越えながら公演を目指す物語。男子シンクロ部が全国各地で設立されたりドラマ化も成功したりと、一大ブームを巻き起こした青春部活映画の金字塔ともいえる作品です。対立するライバル校などの存在がない分、トラブルや人物描写を際立たせていてワクワクしながら楽しめます。

輝かしい日々ばかりではないのが青春だと思い出す

青春という言葉はどこか輝かしいものを連想させますが、そこを輝かしいままで終わらせないのが今作の良いところです。高校生たちが抱える鬱屈としたものがコミカルに描かれているため、「わかるわかる」と思いながらクスりと笑ってしまいます。特に玉木宏演じる佐藤のセリフにはハッとさせられます。

『コーチ・カーター』(2005年/アメリカ)

不良だらけのバスケ部と名コーチの絆を描いた実話


コーチ・カーター スペシャル・コレクターズ・エディション(出典:Amazon)

不良だらけのバスケ部に赴任したコーチが、それまでにない方法で彼らの実力を引き出し勝利に導く物語。のちに全米で有名になったケン・カーターという実在のコーチを題材にした作品で、最初は反発していた部員たちとの絆が深まり躍進していくサクセスストーリーが、爽快かつ重厚に描かれています。キャストたちが実際にプレーしている試合のシーンも見応えバツグンです。

合理的な指導方法がリアルで面白い

物語を感動的にするために感情論を主体にする作品が多いですが、今作は実話に基づいているため、指導方法が合理的に描かれていてリアルで面白いです。バスケットボールだけでなく、学生の本業をおろそかにしないことや、互いに敬意を払うことの必要性を教えるなど、何かに本気で向き合うのに必要な“姿勢”を体に覚えさせる方法にこちらの背筋も思わず伸びてしまいます。

『ボックス!』(2010年/日本)

生まれつきの天才と努力の天才がボクシングでぶつかり合う


ボックス! スタンダード・エディション(出典:Amazon)

高校のボクシング部を舞台に、生まれつきの天才カブと努力の天才ユウキのぶつかり合いを描いた作品。こういう題材は無条件にワクワクします。カブに憧れていたユウキが努力を積み重ねて強くなっていき、やがて天才と同じ土俵でぶつかり合うまでの過程がテンポよく描かれています。カブが天才ゆえの挫折を味わった時の葛藤もあり、互いに色々なものを抱えた状態で向き合う、青春街道まっしぐらな作品です。

親友だからこそ本気で挑む姿に感情が高ぶる

カブに憧れるユウキと、ユウキを見守るカブ。物語中盤までは2人の関係は微笑ましいですが、ユウキの実力が上がるにつれその関係性が変化していきます。しかしそれでも2人の互いを想う気持ちに変化はなく、親友だからこそ遠慮せずに本気で挑む姿には心を揺さぶられ感情が高ぶってしまいます。市原隼人と高良健吾のファイトシーンにも注目です。

『幕が上がる』(2015年/日本)

弱小演劇部が全国大会を目指す!


幕が上がる (出典:Amazon)

目立った成績のない弱小演劇部が、自分というものを模索しながら全国大会を目指して結束していく物語。他の部活と違い明確な勝敗のラインがない演劇と、自分というものを模索する思春期の少女たちという2つの要素がうまく重なった見事な青春映画になっています。登場人物のキャラクター性を際立たせながらも、微妙な心情の変化も捉えられていて、年代を問わず共感できる作品です。

話題になった、ももいろクローバーZの好演

今作の主役はももいろクローバーZの5人が演じているため、ファンに向けられたアイドル映画のような印象を持たれやすいですが、蓋を開けてびっくり。むしろ彼女たちや演劇を知らない人たちに向けられた、ストーリー重視のかなり骨太な作品に仕上がっています。話題になった彼女たちの好演も相まった、とても不思議な引力を帯びた作品です。

『くちびるに歌を』(2015年/日本)

15年後の自分に向けて歌う、合唱部員たちの心の歌に感動


くちびるに歌を(出典:Amazon)

元ピアニストと合唱部員たちが不器用ながらも互いの心に触れ、歌を通じて理解を重ねていく感動の物語。「十五年後の自分へ」をテーマに、少年少女や、かつて少年少女だった大人の心の機微が描かれています。物語の積み重ねに心を奪われ、最後の合唱シーンでは鳥肌が立ちました。

それぞれが向き合う人生と人間関係が交錯する構成が秀逸

今作では登場人物がそれぞれに向き合うべきものを抱えていて、彼らの人生と人間関係が交錯していくストーリー構成がとにかく秀逸です。過去と向き合い、今を生き、未来を想像する。合唱というものを通して少年少女と大人を描く今作だからこそできるものだと思います。三木孝浩監督特有の光の使い方も印象的で、この繊細な青春映画にぴったりです。

『ピッチ・パーフェクト』(2015年/アメリカ)

悩みも吹き飛ぶ爽快なミュージカルコメディ!


ピッチ・パーフェクト(出典:Amazon)

流されるままに大学のアカペラグループに入ることになった女子学生が、個性的な仲間との交流を通じて全国大会を目指す物語。続編が製作されるほどの人気作となった今作はとにかくパワフルで、悩みも吹き飛ぶ爽快なミュージカルコメディに仕上がっています。大会でのアカペラシーンも圧巻で、鑑賞後は思わず口ずさんでしまいます。

アナ・ケンドリックの抜群な歌唱力とキュートな魅力

今作は魅力あふれる登場人物たちが出てきますが、中でもアナ・ケンドリック演じる主人公のベッカは格別です。アナ・ケンドリックは歌唱力が高いことで有名ですが、今作でもそれが発揮されていて聴き惚れます。さらにコメディエンヌとしての才能も相まって、とにかくキュートで魅力的です。彼女を見るだけでも得をした気分になれる一作です。

『ちはやふる -上の句-』(2016年/日本)

少女マンガの実写化作品ここに極まれり!


ちはやふる-上の句-(出典:Amazon)

主人公の熱意に突き動かされた高校生たちが、競技かるたに打ち込み全国大会を目指していく物語。同名少女マンガが原作の今作ですが、はっきり言ってこれは少女マンガ実写化作品の極みです。アツすぎます。恋愛や青春の甘酸っぱさを引きたてつつも、全力で打ち込む彼らの本気が画面いっぱいに映し出されていて、最後まで興奮させられる作品です。

広瀬すずが持つ才能と熱量が作品に息吹を与える

数々の作品に引っ張りだこの広瀬すずですが、今作ではそんな彼女の溢れんばかりの才能と熱量が作品そのものに息吹を与えています。天真爛漫な高校生から殺気さえ感じる競技人に変わる瞬間の目つきや静寂の中の息遣いなど、演出を差し引いたとしてもここまで目を離せなくなる存在感には素直に感動します。

『ちはやふる -下の句-』(2016年/日本)

登場人物たちのキャラクター性を掘り下げる


ちはやふる-下の句-(出典:Amazon)

二部作の後編となる今作。前編では熱い青春が勢いよく描かれていますが、今作では登場人物たちのキャラクター性を掘り下げ個人個人が互いに向き合う部分に注力されています。前編と比べると若干スピード感には欠けますが、その分、感情移入しやすくさらに登場人物たちを好きになってしまいます。

若手俳優たちのせめぎ合いに興奮!

今作の面白いところは、セリフだけでなく表情や間やちょっとした動きでせめぎ合う若手俳優たちの熱い闘いを見られるところです。彼らの視点を通して、一瞬で過ぎ去ってしまう時間が丁寧に切り取られているため、青春というものが呼び起こす言葉にできない感情を味わうことができます。

予告動画も!映画『ちはやふる 結び』のキャストとファンの反応をまとめてみた

2017-11-01

『ハルチカ』(2017年/日本)

吹奏楽部を舞台にした青春ミステリー!


ハルチカ 通常版(出典:Amazon)

幼馴染コンビが謎解きをしながら部員集めに奮闘し、廃部寸前の吹奏楽部を復活させる物語。原作とは異なる映画オリジナルストーリーですが、青春要素とミステリー要素がうまく組み合わさった作品です。「努力は必ずしも報われるわけではない」というメッセージを根底に持ちながらも、その苦労を分かち合う仲間たちの姿が胸に突き刺さります。

細部にまでこだわった“音”が印象的

吹奏楽部を舞台にしているということで録音にはかなりこだわったようで、足音や衣擦れの音、ちょっとした物音などの細部にまでこだわった“音”がかなり印象的で、これだけでも世界観が創り上げられています。また、今作のオリジナル楽曲である「春の光、夏の風」も作風に合っていて、鑑賞後はダウンロード不可避なくらいにハマってしまいます。