過去と未来を描いた君嘘の外伝『四月は君の嘘Coda』のネタバレと考察 





新川直司原作の漫画『四月は君の嘘』は2011年~2015年まで連載され、単行本は全11巻で完結しています。アニメ化&実写映画化された人気作ということもあり、完結後、『四月は君の嘘 Coda』という外伝が出版されました。今回はCodaのネタバレを紹介しつつ、Codaであらためて深掘りされたキャラについて考察します。

『四月は君の嘘 Coda』とは?


四月は君の嘘Coda (出典:Amazon)

『四月は君の嘘 Coda』は下記のように5部構成になっています。

  • Coda1:夏の夕暮れ
  • Coda2:夏の幻
  • Coda3:秘密結社KKE
  • Coda4:2年後
  • Coda5:夏のなごり

ざっくり説明すると、Coda1&2は公生と椿の幼いころの話、Coda3は絵見の話、Coda4は2年後の三池君の話、Coda5はかをりの幼いころの話となっています。今回はそれぞれの章ごとに、公生&椿&絵見&三池&かをりについてのCodaから分かった新たな一面を考察していきます。

【Coda1:夏の夕暮れ】幼き公生&椿の物語


出典:「四月は君の嘘」公式‏Twitter

「夏の夕暮れ」では、幼き日の公生と椿の物語が展開されます。公生が初めてピアノの発表会に出るというその日までの出来事を椿とのふれあいに絡めてまとめています。

公生は小さなころから立派に男のコだった!

瀬戸紘子に才能を見出され、ピアノのレッスンを受けることになった4歳の公生。ピアノを自由に弾くのは好きだった公生ですが、譜面通りに弾くという型にはまった練習はやはり苦手だったよう。練習中に脱走を試みたり、好きな音で弾きたいと駄々をこねたり…。

そんな中、優しかった椿のおばあちゃんが亡くなってしまいます。落胆する椿。公生は元気のない椿を元気づけたいという一心で、あんなに嫌だったピアノのレッスンをおとなしく受けるようになります。そして発表会当日。公生は椿を励ますために初めての舞台に立ちます。椿のために初舞台に挑む公生の姿は、もうすでに立派に男のコでした!

がさつに見える椿…でもやっぱり心の優しい女の子だった!

椿は気に入らないことがあるとすぐに公生らにケリを入れたり、殴ったり…普段は女の子らしい優しさの欠片も見えません。がさつに見える椿ですが、根はやっぱり心の優しい女の子。

椿は4歳のころ、大好きだったおばあちゃんを亡くす体験をしています。おばあちゃんに生き返ってほしいと「命の種」を探しに出かける椿…。真っ暗になっても探し続ける姿からは、大好きな人たちとずっと一緒に居たいという椿の痛いほどの想いが伝わってきます。

【Coda2:夏の幻】公生の初めてのピアノ発表会


出典:「四月は君の嘘」公式‏Twitter

「夏の幻」では、公生の初めてのピアノ発表会の模様が詳しく描かれます。本編ではかをりや絵見の回想としてチョイ出しされていた公生の初ピアノ発表会の様子を、じっくりと見られるため、かなり必見です!

公生の初めての発表会の演奏は椿に捧げるものだった!

生まれて初めて舞台に立った公生。緊張のため最初の挨拶のときに、お尻で椅子を押して倒してしまいます。客席にいる心配顔の椿を一瞬見た後、公生は演奏を始めます。舞台上から椿を見るという場面は、本編でもありましたね。本編では「見る」というより、椿の変なくしゃみの音を「聞く」でしたが…。公生は椿のことを胸に演奏を続けます。椿に笑ってほしい、笑顔になってほしい、その一心で。

初舞台での演奏は、公生が本編でやっと最後にたどり着いた「誰かを想っての演奏」でした。その色は実にカラフルで、まるでひまわりが咲き誇っているかのよう。舞台上で公生は一人ではなく、くまさんやねこさんやうさぎさんなど、いろんな動物たちとセッションしています。椿は公生の演奏を聴いて、見事笑顔に!

公生はやっぱり天才!周囲の人々の心を打ちぬく演奏

公生の初舞台は椿に捧げるものでしたが、その他大勢の聴衆たちの心も打ちぬきました。絵見は公生の演奏を聴くまではウトウト夢の中だったのに、公生の演奏が始まった途端目を覚まし、演奏後には感動のあまり号泣してしまいます。ピアノに興味のない渡でさえ、「すげー」と公生の演奏にくぎ付け。

公生の母親は、それまで公生に才能があるのか半信半疑だったようですが、初舞台の演奏を聴き「この才能をきちんと世に出す」という決意を固めます。

【Coda3:秘密結社KKE】絵見ファン必見!「秘密結社KKE」とは?


出典:「四月は君の嘘」公式‏Twitter

「秘密結社KKE」では、絵見の素顔が描かれます。本編では、「女王」という名がピッタリの気分屋で情熱的な演奏をする絵見でしたが、学校で見せる素顔は別人であり、「秘密結社KKE」というファンクラブが設立されるほどのの人気者でした。

学校での絵見は本編とまるで別人だった!

本編での絵見は、公生の初舞台での演奏が忘れられず、自分もあんな風に人を感動させられるようなピアノを弾きたいという強い想いを抱え、公生をぶっ倒して上に行くんだという、触れれば焼かれるほどの情熱をもってピアノに向かっている少女でした。公生のことを想うあまり、公生が出ないコンクールでの出来は散々…。気分にムラがあり、気難しく、扱い辛い女王気質という印象。

しかし、学校での絵見はまるで別人でした。絵見はいわゆる何でも器用にこなしてしまう優等生タイプの女子であり、しかもかなりの美人ということで、男子生徒からの人気は他に類を見ないほど。校内ではにこやかに振舞い、不機嫌さの欠片も見当たりません。

「秘密結社KKE」とは?

絵見の学校には、男子生徒ばかりで結成されている「秘密結社KKE」なるものが存在します。「秘密結社KKE」とは、ズバリ、絵見のファンクラブのこと。やっていることと言えば、その日の朝の絵見の様子を事細かに報告したり、写真を隠し撮りしたりと最早軽くストーカーでは?レベル。

しかも最終的に絵見の8分の1等身大フィギュアを作ってしまおうという怪しい活動も…。ちなみに、「KKE」は「キュン(K)キュン(K)エミポンズ(E)」の略だそうです。

【Coda4:2年後】三池君の2年後


出典:「四月は君の嘘」公式‏Twitter

本編の初登場時から、何だかお堅い雰囲気を持っていた三池君。中1当時からちょっと公生に似た雰囲気もあり、気になる存在でしたが、本編の中では充分に描かれることはありませんでした。が、とうとう、Codaの中の1章分を使って三池君が登場!

「2年後」では、三池君の2年後が描かれます。あれから2年なので三池君は中学3年生になり、背も少し伸び、大人っぽく落ち着いた雰囲気の少年に成長しています。

三池君はやっぱりヤバかった…!クラッシャー三池

公生とかをりのガラコンでは、気難しそうな一面が見え隠れしていた三池君。中3になっても、やはり三池君は三池君でした。

今やくる中の人気を凪と二分する勢いの三池君ですが、告白してきた女子に対し「時間の無駄」と一刀両断した上に、その女子のピアノ演奏に対する姿勢をネチネチとダメ出ししたり、学祭での伴奏者には厳しすぎる指摘をするため何度も逃げられたり…。別名は「クラッシャー三池」。

かつての公生&凪がここに!三池&チャボ

中3の学祭で三池君が伴奏に選んだのは、チャボ。でもやはり、三池君はチャボに厳しすぎるダメ出しを連発します。逃げ出しそうになるチャボですが、踏みとどまります。それはやはりある人たちの演奏に打ち抜かれた経験があるから。

チャボは、かつてのくる学祭での公生&凪の演奏に打ち抜かれた一人でした。自分もあんな風に人を感動させる演奏がしたいという想いだけでくる中に入学し、今に至るチャボ。どんなに苦しくても、かつての公生&凪のような関係にある今の三池君との関係を自ら断つわけがありません。

凪 v.s. 三池 相変わらず恋敵!?

さて、一方の凪と三池君の関係ですが、こちらは中1当時から変わらずといったところ。凪は相変わらず公生を先生と呼び、仲良くしているようですが、三池君は凪によって公生への接触を阻まれているようでした。2年経った今も、三池君は公生のアドレスさえ知らず…といった状態のよう。相変わらず二人は(公生を巡る)恋敵なんですね。

でも、本編から凪も成長しています。それは「ライバル」に対する考え方。かつての凪は兄(武士)の邪魔をする公生のことを憎き敵と思っていましたが、公生や紘子と触れ合うにつれ、「ライバル」とは、「共に歩む者」という意識を持つようになりました。

Codaでも、ライバルである三池君の伴奏をするチャボに対して、温かいまなざしを贈っています。本編からの成長には思わず、「凪!大人になったね!」と抱きしめてあげたくなりますよ。

【Coda5:夏のなごり】幼き日のかをり


出典:「四月は君の嘘」公式‏Twitter

「夏のなごり」では、幼き日のかをりのことが詳細に描かれます。公生と出会う前のかをりの様子や、公生と出会った後のかをりの様子も。

かをりは雑な子だった…

幼いころのかをりは、いろんなことに興味がある女の子でした。カバディ、バレエ、茶道、ピアノ、ペンギン、オオコウモリ、またぎ、グラディエーター…etc. 興味のあるものは日々変遷し、その発言は実に唐突だったそう。もちろん、やりたいと言ったことが続いた試しはなく、飽きっぽく雑な性格とも言えます。

5歳で公正の演奏に衝撃を受けた後…がスゴかった!

そんなかをりの人生を変えたのは、やはり公生。かをりは偶然、公生の初舞台を見ていました。そこで公生の演奏のあまりのカラフルさに心を打ち抜かれたかをり。かをりはそこで、公生と同じピアノを続けるのではなく、公生にピアノを弾いてほしいという理由で、ヴァイオリンに転向したいと両親に告げます。が、もちろん却下。

そこで両親がかをりに課したのは、「1ヵ月間、毎朝一人で起きて、はみがきして、用意をして幼稚園に行く」という4歳の子にとってはかなり過酷な条件でした。決してやり遂げられないだろうと思いましたが、一度5分寝坊しただけで、見事やり遂げてしまいます。

人が変わる瞬間って、きっとこんな風に突然、雷に打たれたように訪れる者なんだろうと思います。人の人生を左右してしまうほどの威力を持つ音楽は、本当に凄いものですよね。

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『四月は君の嘘 Coda』を読むと本編を読み返したくなる!

『四月は君の嘘 Coda』は、「過去」「今」「未来」を描く物語ですが、実は公生や椿や渡の今後については描かれていません。しかし、公生と椿に関しては、「夏の夕暮れ」「夏の幻」を読む限り、きっとこんな風に未来が続いていくような気がしてなりません。公生はこれから先もきっと誰かの思ってカラフルな演奏をするピアニストになるでしょうし、椿はそんな公生を見守り、公生を照らす灯台となり、生きていくように思います。

『四月は君の嘘 Coda』を読むと、本編への理解がより深まります。『四月は君の嘘 Coda』には、つい「あの場面はどうだったかな?」と本編を読み返したくなるという効用もあります。ぜひ本編と合わせて楽しんでください。

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