『血界戦線』シリーズOP・ED曲はそれぞれが作品の世界観に沿った内容となっており、見事に作品を彩っています。特にユニゾンの「シュガーソングとビターステップ」はパロディ動画がたくさん作られるほどの人気ぶりで話題となりました。こちらでは公式動画などを織り交ぜながらシリーズOP・EDを全てご紹介します。
記事の目次
『血界戦線』とは
内藤泰弘原作のSFアクションストーリー
『血界戦線』は内藤泰弘原作の漫画で、ジャンプスクエアの2009年2月号より『血界戦線 -魔封街結社-』として連載が開始された作品です。その後は「ジャンプSQ.19」2010年創刊号から2015年Vol.18まで連載され、SQ.19の休刊後は「ジャンプSQ.CROWN」にて『血界戦線 Back 2 Back』が2015年SUMMER号から連載中です。コンセプトは「技名を叫んでから殴る漫画」。
異界と人界とが交差して一晩で変わり果て、常に「普通ではあり得ない」現象や犯罪が起こっている街、エルサレムズ・ロットを舞台に、そこの均衡をなんとか保とうと暗躍する「秘密結社ライブラ」の活躍が、主人公レオナルド・ウォッチ(レオ)の目から語られるという形でストーリーは進行していきます。個性豊かなメンバーたちがそれぞれの能力を発揮したかっこいい必殺技に注目です。
2017年10月より『血界戦線 & BEYOND』放送
『血界戦線』は第1期が2015年4月より6月まで放送され、そして第2期『血界戦線 & BEYOND』が2017年10月より放送されています。そして、1期・2期ともに作品のための書き下ろし曲がOP・EDに使用され、『血界戦線』の世界を見事に彩っています。以下、その4曲を詳しくご紹介していきます。
1期OP曲|『Hello,world!』BUMP OF CHICKEN
メンバーが皆『血界戦線』ファン!
『血界戦線』1期のOP曲を担当したのはBUMP OF CHICKENです。元々メンバー全員がこの作品のファンだったため、声がかかった時はツアーなどの忙しさから作曲期間もあまりなかった中でも、迷わずオファーを受けたそう。特にベースの直井がこの作品にはかなり深い思い入れがあったようです。
また、1期アニメの監督である松本理恵はそれまでも彼らのライブに足を運んだりと、意気投合していた部分はあったようで、そういった面からもスムーズに話が進んだのでしょう。
歌詞に反映されている、当時の自分たち
Hello,world! / コロニー(出典:Amazon)
イントロから歌の始まりはとても淡々とした感じになっており、「普通に考えたら日常的ではない世界」をなんともさりげなく表現しています。また、元々原作のファンだったという彼らならではの、作品の世界観に沿った歌詞もとても印象的です。特にサビの部分の「ハロー どうも 僕はここ」というフレーズは主人公レオナルド・ウォッチがこの世界に呑み込まれないために常に冷静に心の中で唱えている言葉のようにも聴こえます。
また、「昨日どうやって帰った 体だけが確か」や「おはよう これからまた迷子の続き」などは、この曲を作った時のメンバーのリアルな様子を表現したものとのこと。でもそれはまだきちんと地に足をつけられていない状態のレオと重なる部分もあるとのことで、当時の自分たちとレオの立場をリンクさせ、反映したものになっています。これらを踏まえてこの曲を聴くと、くっきりと『血界戦線』の世界が目の前に広がってくるようですね。
1期ED曲|『シュガーソングとビターステップ』UNISON SQUARE GARDEN
『血界戦線』のための書き下ろしソング
1期のED曲を担当したのは3人組のロックバンド、UNISON SQUARE GARDENです。彼らはこれまでも『TIGER & BUNNY』のOP曲「オリオンをなぞる」や、『夜桜四重奏 〜ハナノウタ〜』のOP曲「桜のあと (all quartets lead to the?)」などアニメとのタイアップも何度かしているアーティストで、この「シュガーソングとビターステップ」は『血界戦線』のために書き下ろされた曲です。
歌詞はメンバーによると「原作冒頭での非日常な日常風景という現実世界とのギャップを歌詞に込めた」とのこと。たしかに出だしの「超天変地異みたいな狂騒にも慣れて」や「揺さぶられながら見失えないものは何だ?」、サビの「甘くて苦くて目が回りそうです」などはまさにレオの心情を表しているように感じます。そういった、ちょっと苦味のある歌詞が軽快なリズムとメロディに乗っていくのが特徴です。
原作者も感動!ED映像が人気過ぎてパロディ作品がたくさん誕生
高校生の男の子達がさー、血界のEDに合わせてゆるゆるにダンスを再現する動画見ちゃってさ。何かあの日のアニメ大好きで馬鹿な事ばっかりやってた自分に届いた様な気がして胸が一杯になった。ありがとう。
— 内藤泰弘/YasuhiroNightow (@nightow) June 11, 2015
アニメのEDでは、キャラたちがこの曲にのって思い思いに楽しそうにダンスをする映像もとても話題となり、さらに人気を押し上げることとなりました。普段から絡みのあるキャラ同士が一緒にダンスをするのは良いとして、普段あまり絡みのないキャラが絡んでいたり、また、なんといってもアニメ本編では見せないような格好、表情がとても印象的で、何度も何度も見ていたくなる映像となっています。
そしてこの映像を元に、他のアニメのキャラを当てはめたり、コスプレで完コピしたりなど、さまざまなパロディ動画が作られ、多数作品がネットに投稿されるという社会現象ともなりました。このことに関しては原作者の内藤泰弘も自らのツイートで「ありがとう」と感動を伝えており、不快感どころか嬉しさを表していたことも印象的でした。
2期OP曲|『fake town baby』UNISON SQUARE GARDEN
ヘルサレムズ・ロットで鳴っていて欲しいというイメージ
2期『血界戦線 & BEYONDでは、1期でED曲を担当したUNISON SQUARE GARDENがOPを担当しています。この曲も「シュガーソングとビターステップ」同様、アニメのための書き下ろし曲で、1期最終回の「ヘルサレムズ・ロット」に流れていた空気を汲んで、あの街で鳴っていてほしいという音楽をイメージし、作曲したとのこと。
タイトルの「fake town」というワードからしても、ヘルサレムズ・ロットという街にぴったりの表現ですし、「どうしようもない街だから、どうしようもなく生きようじゃありませんか」と作詞作曲を担当した田淵が語るように、全体的な歌詞から漂う、諦めでも投げやりでもなく、この非現実的なことが起こる日常を「こんなのもありか」と受け止めるかのような雰囲気が印象的です。
1期ED曲とは全く方向性の違う曲
また、今回はOP曲ということで、ED曲とは担い方が違うということも意識したそう。そのせいか、これまでの彼らの音楽性とはちょっと違い、全体的にロック色が濃くなっているように感じます。
たしかに、OP曲というのはその作品を印象付けるものとして大変重要な役割を果たすものもありますので、そういった意味では「担い方が違う」と意識するのは分かる気がしますね。そしてこの曲のもつ「かっこよさ」は『血界戦線』という作品をとてもよく表していると思います。
2期ED曲|『ステップアップLOVE』DAOKO×岡村靖幸
「大好きな作品に関われて幸せ」とコメント
『血界戦線 & BEYOND』ED曲には、DAOKO×岡村靖幸の新曲「ステップアップLOVE」が起用されました。DAOKOは『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌、「打上花火」(DAOKO×米津玄師)で注目を集めていましたが、今回岡村靖幸とタッグを組み、作詞を手掛けています。
「いちファンとして今後の展開が楽しみ」と語るDAOKOは元々作品の大ファンだったようで、関われたことを嬉しく思うとコメントをしています。
MVではDAOKOと岡村がダンス対決!1期EDで起きたブームが再来!?
この曲のMVでは、DAOKO+ELEVENPLAYと、岡村がダンス対決をする様子が収められています。監督は児玉裕一、振り付けはMIKIKOが担当しました。このダンス対決がなかなかよくできていて、何度見ても飽きない作りになっています。もしかしたら本編でキャラが同じ振り付けで踊ってくれるかも!?という期待もありますね。そうしたら1期EDの時のようなブームがまた再来するかもしれません。OP曲が勢いがある曲な分、ED曲では遊び心も覗かせ、緩急のついたよいまとまりになっていると思います。
なお、『血界戦線』は、作中に流れる挿入歌も大変良いとファンの間では評判となっています。その作中挿入歌などをまとめたサントラなども発売されているので、気になった方は是非チェックしてみてください。