美しすぎる犯罪者『サイコパス』槙島聖護はなぜ人気なのか?徹底考察

『サイコパス』アニメ1期で一連の事件を起こした首謀者であった槙島聖護は、出番をそこで終えてもなお、その圧倒的存在感は健在で、未だにファンからの人気がとても高いキャラです。その理由はどこにあるのか、ファンの間で人気のあるセリフ、彼が引用した小説などから独自に考察しました。

『サイコパス』槙島聖護とは?プロフ・声優など紹介

誕生日・年齢などは不明 美しすぎる犯罪者


PSYCHO-PASS ブランケット 槙島聖護(出典:Amazon)

槙島聖護は『サイコパス』アニメ1期で発生する一連の事件を起こした犯人です。身長は180㎝、体重は65kg、血液型はO型と、ここまでは公式から発表されていますが、年齢、誕生日などは一切不明です。年齢については、ファンの間では狡噛と同じくらいではないか、という意見が多いのですが、やや子供じみた振る舞いをみせるところもあり(自分の思ったとおりの働きをしないと簡単に捨ててしまうなど)、意外と若いのではという意見もあります。

銀色の長髪を持つ美形の男性で、その様は小説「無窮花」内でチェ・グソンから見た彼の描写として「月と雪とが交わって生まれたような美しい男」と表現されるほど。これ以上に彼の美しさを表現できる言葉はないと思うほどに見事な描写がされています。イケメンとか美青年などのレベルで表すなんてできない、それほどの美しさなのです。

見た目の美しさや穏やかな物腰からは想像がつかないほどの残虐性をもち、数々の凶悪事件を引き起こしますが、彼は免罪体質者であるため、いくら殺人を犯してもシビュラから裁かれることがありません。彼なりの美学を持ち、一貫している様がカリスマ性を帯びていることで、ファンからの人気も高いキャラです。

槙島聖護を演じるのは声優の櫻井孝宏


出典:ボイスニュータイプ編集部‏公式‏Twitter

槙島聖護を演じるのは声優の櫻井孝宏です。櫻井は1974年6月13日生まれ、アニメ声優デビューは1996年の『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』、そして2000年の『ゲートキーパーズ』浮矢瞬役でレギュラーを獲得すると、その後は様々なアニメの主要キャラを演じるようになっていきます。2012年の第6回声優アワードにて「海外ファン賞」を受賞。槙島聖護以外では『おそ松さん』の松野おそ松役、『終わりのセラフ』のフェリド・バートリー役、『亜人』の戸崎優役など多数作品に出演しています。

槙島の人気が高いのは「声がいい」という要素もかなり含んでいるのでは、と思います。槙島のこの容姿、そして淡々と紡がれるセリフに、櫻井の声は非常にマッチしていると言えるのではないでしょうか。

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視聴者は彼のこんなところに共感してしまう…ファンの間で人気の高い名言

「僕は人の魂の輝きが見たい。それが本当に尊いものだと確かめたい。だが己の意思を問うこともせず、ただシビュラの神託のままに生きる人間たちに、はたして価値はあるんだろうか?」


出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式Twitter

僕は人の魂の輝きが見たい。それが本当に尊いものだと確かめたい。だが己の意思を問うこともせず、ただシビュラの神託のままに生きる人間たちに、はたして価値はあるんだろうか?

アニメ第11話「聖者の晩餐」より引用

槙島のセリフには、思わず視聴者も「納得」してしまうものがいくつかあります。まずは上記のセリフ。こちらはアニメ11話「聖者の晩餐」で常守の親友、ゆきを人質にしながら常守に語り掛けるシーンのものです。

常守の目の前で確かに犯罪は行われているに関わらず、槙島の犯罪係数は執行対象外。どころかどんどん下がっていくという始末。槙島は「そもそも何を持って犯罪を定義するんだ?シビュラシステムが決めるのか?」と問いかけます。

数値によって振り分けられる善と悪。そこに「人間の魂の輝き」が見られるはずがない、だって現に自分は正しく振り分けられていないのだから。それが槙島の言いたいことなのではないでしょうか。本当に正しいものはなんなのか。少なくともシビュラシステムではなさそうだ、その矛盾を視聴者にも突きつけるセリフ・シーンでした。

「僕はね、この人生というゲームを心底愛しているんだよ。だから、どこまでもプレイヤーとして参加し続けたい」


出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式Twitter

僕はね、この人生というゲームを心底愛しているんだよ。だから、どこまでもプレイヤーとして参加し続けたい

アニメ第17話「鉄の腸」より引用

このセリフはアニメ17話「鉄の腸」でのもの。シビュラの正体については16話で視聴者(と縢とチェ・グソン)には知らされる形となりましたが、このとき槙島にも禾生局長(中身は藤間幸三郎だった)自らがシビュラについて正体を語り、さらには彼にシビュラの一員となるように言うシーンが出てきます。ですが槙島は「レフェリーよりプレイヤーがいい」と断り、藤間の脳を破壊して逃亡します。

もちろん槙島の性格を考えればこのように答えるのももっともと言えると思います。そして槙島らしさをとてもよく表したセリフですね。シビュラに認識されない彼が実は誰よりも「生きる」ことへの執着が強く、それを精一杯楽しもうとしている。もちろん、決して正しいやり方とは言えませんが、槙島も自分自身の魂の輝きを見たいと思っているのでしょう。

そしてこの件があったために、ファンの間では2期のシビュラの中に槙島の脳が入っているのでは?と推測する人も少なくありません。

「孤独だと?それは僕に限った話か?この社会に孤独でない人間など誰がいる?」


出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式Twitter

孤独だと?それは僕に限った話か?この社会に孤独でない人間など誰がいる?

アニメ第22話「完璧な世界」より引用

このセリフはアニメ22話「完璧な世界」での、槙島と狡噛の2度目の1対1の対決の際に交わされた会話の中にあります。狡噛は槙島のことを「自分が特異体質だと知ったときに、疎外感を覚えたのでは」と分析し、「孤独に耐えられなかったから」シビュラを憎み、犯行に及んだのではと槙島に突き付けます。それに対して槙島が返したのが上記のセリフなのですが、これを見る限り、「孤独である」ということは否定はしていません。さらにはこのあと「君だってそうだろう?」と狡噛に迫っています。

この最終回での槙島と狡噛のやり取りで知らされたのは、槙島も普通の人間だった、ということでしょうか。小説「無窮花」で、グソンが「ダンナはシビュラに愛されていいな…」とうらやむようなことを言ったことに対し「愛されてるというより眼中にないっていうのが正しいんじゃないかな」と返したシーンがありました。

彼は免罪体質であることを特権とは思わず、逆にその中で抗おうとしたのだと思います。孤独を感じ、恐れた1人の人間。そこにファンはある種共感を覚えたから、槙島はこんなにも人気なのかもしれません。

アニメ22話の「そうか君は…」のあとに続く言葉は?


PSYCHO-PASS サイコパス VOL.4(出典:Amazon)

『サイコパス』はストーリーそのものが難解な部分も多く、このセリフが何を意味するのかなど一度見ただけでは分からないものも多いですが、その中でも特にファンの間でも謎とされているのがこの最終話での、槙島が倒れた常守に一旦は銃を向けたものの弾切れに気づき「そうか、君は…」と言って結局殺さなかった理由、そしてこのセリフの後には何を言いたかったのか、ということではないかと思います。

これに関してはフィナーレイベントで「君はここで死ぬべきではない」という意図だったと塩谷監督の発言があったそうです。ではなぜここで死ぬべきではないと思ったのか、そもそも常守がドミネーターではなく銃を持っていたのは狡噛と交換したからなのですが、そのことにも槙島は気づいたのたと思います。つまり、この状況にあってなお、彼女は狡噛に槙島を殺させず、確保する方法を選んできているということに槙島は気づき、シビュラに使われているものではなく、1人の人間として判断して行動しているということに感心したのではないでしょうか。だから「そうか」と納得し「まだ死ぬべきではない」と彼なりの基準で判断したのではと思います。

そしてその後その銃を持たず、そこに捨て置いたのは、後から来る狡噛が自分を殺せるようにしたのでしょう。そしてそれはその通りになりました。

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槙島と狡噛、もっとも近しい存在の2人

追う者と追われる者


出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式Twitter

槙島にとっては狡噛は唯一「自分を理解してくれるもの」として認める存在でした。槙島はきっと自分のところに誰かがたどり着くのを待っていたのだと思います。そこに辿り着けたのが狡噛でした。そして狡噛は標本事件の頃から槙島を追っていましたからこれはもう運命といってもいいのでしょう。

狡噛は緻密なプロファイリングをしながら徐々に槙島の思考に寄り添うような形で彼をとらえていきました。推理し、読み解いていくことで槙島にもっとも近い存在となったのです。この2人の間にはヒロインである常守すら入る余地はなかっただろうと思います。

槙島の問いかけに答えたのは狡噛だけだった


出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式‏Twitter

ストーリーの中で、槙島は数々の問いかけをしてきました。それらはある時は彼の好む小説から引用されたり、または哲学的なことだったりで少々難解だったりして、それに的確に答えられる人はいませんでした。でも狡噛だけは槙島の問いかけに答えていたように思います。それは狡噛ならではの、彼なりの考えをただ伝えただけだったと思いますし、どれもが槙島の考えを肯定するものではありませんでしたが、槙島にとってはそれだけでも満足だったのではないでしょうか。

その最も印象深かった問答が、槙島が最期に言った「君はこのあと、僕の代わりを見つけられるのか?」に狡噛が「いいや…。もう2度と御免だね」と答えたシーンでしょうか。槙島がこの答えに満足げにして銃弾に倒れたところも、最期までこの人らしいと思える描写でした。永遠に終わることのない鬼ごっこでようやく捕まえてもらったような、そんな心境だったのかもしれません。

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ジョージ・オーウェルから新約聖書まで 槙島が読む本は多岐にわたる

「紙の本を買いなよ」


出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式‏Twitter

槙島といえば、小説から言葉を引用したり小説を紹介したりと、本が好きなのだろうなと分かる描写がたくさんあります。そしてその引用は新約聖書から哲学書まで多岐にわたります。そんな槙島が15話でグソンにお勧めの本を紹介するくだりがあり、そこには彼ならではのこだわりもよく表れていました。

「紙の本を買いなよ、電子書籍は味気ない」と槙島は言います。いわく「本はただ文字を読むのではなく、自分の感覚を調整するためのツールでもある」とのこと。調子の悪い時には本の内容が頭に入ってこない、また逆に、調子が悪くても内容が入ってくることもある。その違いはなにかを考える、いわば「紙の本を触る・読む」という行為は精神の調律であり、チューニングを行なっているようなものだそう。

今この時代でも既に電子書籍がかなりの普及をみせており、本屋さんがひっ迫しているという事情も多いようです。筆者は手元に残るのが好きなので未だに紙の本を買っていますが、この槙島の考えには思わず大きくうなずいてしまいました。

作中で槙島が引用していた小説を紹介


1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)(出典:Amazon)

最後になりますが、槙島が『サイコパス』内で引用・紹介していた小説をいくつか挙げておきます。

4話「誰も知らないあなたの仮面」で彼が読んでいた本はジョージ・オーウェルの『1984年』です。ストーリーはオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの超大国によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いたもの。作品の舞台となったオセアニアではあらゆる市民生活が統制され、全ての行動が当局によって監視されています。主人公は真理省・記録局に勤務する党員でしたがある時体制の裏側を知ってしまい…というお話。どうでしょう、『サイコパス』の世界に通じるものがあり、これを槙島が読んでいたというのは非常に興味深いと思いませんか?

15話「硫黄降る町」で、槙島がグソンに勧めていた本がフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』です。フィリップ・K・ディックはアメリカのSF作家でこの作品は第三次世界大戦後の世界を描いたもの。この世界では自然がかなりの打撃を受けた影響で生物1匹に至るまで厳重に保護されている一方で科学技術が発達し、本物そっくりの人造人間も存在します。主人公はその人造人間を破棄する賞金稼ぎですが、次第に本物の人間と人造人間の区別がつかなくなっていく、というお話です。こちらも『サイコパス』の世界になんとなくつながるものがありますね。ちなみにこの作品は1982年に公開された映画『ブレードランナー』の原作となったことでも有名です。

槙島が作品内で紹介・引用した小説はこの他にもあります。槙島の思考をよりよく理解したいという方は是非読んでみてはいかがでしょうか。