劇場版の公開から2年以上が過ぎ、ファンの間ではアニメ3期も待たれる『サイコパス』は未だに人気が根強い作品です。こちらではアニメ1期主人公を務めた狡噛慎也について、プロフィールや声優、吸っているタバコやその意味、常守朱や槙島聖護との関係などを劇場版まで含めて考察してみました。
記事の目次
『サイコパス」狡噛慎也の年齢・身長・声優紹介
インテリかつ鍛え上げた肉体を持つスーパー刑事
狡噛慎也は2084年8月16日生まれ、『サイコパス』1期の世界は2112年だったのでこのとき28歳という設定です。身長180㎝に体重66kgと羨ましいような体型、よけいなものを一切削ぎ落したような肉体は毎日のトレーニングの賜物です。劇場版ではかなり筋肉量が増えて逞しくなってましたから(ファンの間ではもはやゴリラとまで言われていました)もう少し体重が増えたかもしれません。
彼は単に身体能力が高いだけではなく、推理力や洞察力も優れていて、事件のたびに論理的に物事に対処しようとする姿勢をみせています。また、犯人の心理を読み解く能力もずば抜けており、それが事件解決へとつながったケースも多いです。肉体派かと思えばまさかの頭脳明晰、そのギャップもいいのですが、推理力・洞察力で犯人を追いつめ、執行する際はその優れた身体能力を遺憾なく発揮する、そのさまはまさに「スーパー刑事」であり、かっこいい人だなと思います。
狡噛慎也を演じるのは声優の関智一
出典:PSYCHO-PASSサイコパス公式Twitter
(写真左)
狡噛慎也を担当するのは声優の関智一です。関は1972年9月8日生まれ、声優としての活躍の他にナレーターを務めたり、舞台役者として活躍したり、CDを出したり、と多彩な才能を発揮しています。2014年4月には落語家の立川志ら乃に弟子入りをしたりも。
狡噛慎也の声はやや低音でとてもハリのあるかっこいい声ですが、関はさまざまな声色でキャラを演じ分けることができる声優です。たとえば『ドラえもん』のスネ夫の声の人、と言っても狡噛しか知らなかったらおそらくピンと来ない人も多いのではないでしょうか。まさにそれが形となって表れたのが2017年1月の声優総選挙で第5位を獲得したことで、その時には「ギャップが魅力の天才声優」と紹介されました。
関はその他『機動戦士Vガンダム』のトマーシュ・マサリク役、『Fate/stay night』のギルガメッシュ役、『妖怪ウォッチ』のウィスパー役、『昭和元禄落語心中』の与太郎役など、多数作品に出演しています。
狡噛慎也が吸うタバコの秘密
銘柄は「SPINEL」 由来は『踊る大捜査線』
ファンであればおそらくほとんどの人が「狡噛さんが吸ってるタバコの銘柄はなんだろう」と思ったことでしょうし、調べたことと思います。彼が吸っているのは、アニメ内画像から「SPINEL」という銘柄のようです。
この銘柄は実際には存在しませんが、モデルはおそらく『踊る大走査線』シリーズの主人公、青島刑事が好んで吸っていた「アメリカンスピリット」ではないかと言われています。そのシリーズと『サイコパス』シリーズの監督は同じ、ということからもなるほどと思わせる考察です。
彼がタバコを吸うのは佐々山を忘れないため
アニメ内でも狡噛がタバコを吸うシーンは結構多く見られますし、デスクにカートンで積まれていますので喫煙量も相当なのでしょう。狡噛がタバコを吸うようになったのは、同僚だった佐々山が「標本事件」で殺されてからのことです。彼と同じ銘柄のタバコを吸うのは、あの時部下を救ってやれなかったことや、彼が命を落としてまで、直前まで犯人を追い詰めておきながら事件を迷宮入りさせてしまったことの戒め、そしてなにより佐々山を忘れないため、そうも思えます。
実際、筋力トレーニングに喫煙はあまり良いものではありません。あれだけストイックなのにどうしてタバコはやめないのか、疑問でもあります。彼の精神力であれば禁煙なんて簡単なことじゃないかなとも思います。それを考えると元々愛煙家というわけではなく、やはり上記の理由で吸い続けているのではないかと思えます。
ちなみに1期ラストでもまだタバコを吸っている描写がありましたので、犯人である槙島を殺しても彼の中ではまだ「終わっていない」のだなと思いました。
狡噛慎也と常守朱の関係…2人の間に恋愛感情は?
狡噛は朱を1人の監視官として認めていた
PSYCHO-PASS サイコパス VOL.7(出典:Amazon)
あんたは、何が正しいかを自分で判断した。役目より正義を優先できた。そういう上司の下でなら、俺はただの犬ではなく、デカとして働けるかもしれない。
アニメ第2話「成しうる者」より引用
狡噛と、ヒロインである常守朱の間に「恋愛感情」があったか否か、これはファンの間でも意見が分かれているところです。公式単行本「PSYCHO-PASS サイコパス OFFICIAL PROFILING 2」に収録されていた本広総監督のインタビューには「愛情を超えた信頼関係」などと語られていましたが、男女という枠、そして恋愛とかいう枠を超えて、これこそが「理想の人間同士の間柄」ということではないのかとも解釈することができると思います。
そんな狡噛と朱の出会いは、就任しょっぱなから朱が犯人ではなく狡噛をドミネーターで執行するというなんとも衝撃的なものでした。明らかに他の執行官たちとはオーラの違う狡噛、そして着任したばかりの朱、おそらくほとんどの人が狡噛と朱の間には溝ができ、ちぐはぐした関係が今後描かれていくのかなと思ったのではないでしょうか。
ところが狡噛は、見舞いに訪れた朱に上記のセリフを告げます。怒っているどころか、朱の判断を「正しい」とした上で「監視官」としてまた「上司」として認めた瞬間だと言ってもいいと思います。そしてこれがストーリー通じての2人の関係に尽きるのかなと思います。
劇場版を通じて2人の関係はどう変わったか
劇場版で朱と3年ぶりに再会した狡噛は、外見は筋肉量が大分増えて逞しくなった以外、内面的なところはほとんど変わっていませんでした。朱に会っても、その態度も特に、見ているこちらがやきもきするくらいに変わっていませんでした。それどころか、彼はもう公安局の皆がどうなったかということにさえ、興味があまりなかったようにみえました。
もちろん、彼が今いるSEAUn(東南アジア連合/シーアン)でも彼は政府と対立する立場にあり、現状を打開するのに精一杯でそんな過去のノスタルジーに浸るヒマもなかった、とは思うのですが、そのあたりで、2期の間もずっと狡噛を思うような描写がされていた朱との間に温度差のようなものも感じたことも確かです。
ただ、朱がこの3年抱えていた気持ちを狡噛にぶつけ、狡噛もそれを聞くという2人の対話は必要なものだったと思います。朱が何を言っても狡噛は変わる人ではないですが、もし3期があるのならこの対話があったことが必ず生きてくるんじゃないかと思いますし、この対話があったからこそ、2人とも対等な立場で向かい合えるのではないか、そう思います。
狡噛慎也と槙島聖護の切っても切れない縁
1期最終話に映った本
失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉(出典:Amazon)
狡噛を語る上で外せない人物がもう一人、それが槙島です。最後に狡噛は槙島に文字通り「たどり着き」、そして彼の望みの通りに殺しました。『サイコパス』1期はこの2人のストーリーだったといっても過言ではありませんのでここで完結…したかと思いきや、狡噛の中ではまだ終わっていないのでは、と思わせるシーンが1期の最終話で示されていました。それが、マルセル・プルースト著の「失われた時を求めて」の第一篇「スワン家の方へ」が読みかけで置いてあること、そしてタバコが吸いかけで灰皿に置いてあったシーンです。
槙島はこの時代には手に入りにくい紙の本を愛読する人でした。そして佐々山を忘れないために吸っていたタバコを槙島を殺してもまだ吸っている…。槙島がまだ生きているのかも?ということではなく、あのラストで本当によかったのか、狡噛の葛藤を表したものなのではないかとも思えます。
劇場版にも槙島の面影が
狡噛はまだ槙島を引きずっている、それは劇場版でも表れました。朱にも槙島と似ていると指摘されてるくらいでしたし、作中でピンチに陥ったシーンで槙島の幻覚まで見てしまう始末でしたから。これには正直驚きました。まさかここで槙島が登場して喋ってくれるとは思わなかった(すごいファンサービスだと思いました)というのと、この人はまだ槙島のことを引きずっていたのかという点で。だって幻覚に現れるって相当ですよね。
そしてこれがやはり、1期ラストのあの本とタバコのシーンが槙島のことをまだ終わったとは思っていないということに繋がるのだなと思いました。死んでもなお、狡噛に影響を与えるなんて本当に強烈な存在だったということですね、槙島という男は。
劇場版サイコパスの狡噛慎也は何をしたかったのか
劇場版での狡噛の活躍はどうだったのか、少しまとめてみます。日本では「殺人犯」となってしまった彼はシーアンにいて、そこでも結局シビュラと対立関係にありました。冒頭のシーンから日本にテロリストを送ったのが狡噛なのか、海外からシビュラを潰しにきたのだろうかと思いましたがそんなことはなくむしろやはりブレることのない彼なりの「正義」でシーアンのシビュラと立ち向かっていたことが分かります。
ただ、「日本を出た狡噛は何をしたかったのか」となると劇場版を見ている限りでは掴めませんでした。多分シーアンにはたまたま流れ着いただけだと思いますし、そこの政府のやり方に疑問を持ち、ゲリラ側につくことにした、だけのことだったと思います。彼は目先の「悪」が許せないので放っておけない、だから「今は」ここにいる、そんな感じでしょうか。でも、朱と再会し、成長した彼女を見て何か感じるところはあったと思います。それが今後、彼の生き方になんらか影響を与えるかもしれません。
3期がもしあるとすれば狡噛はどうなる?
さて、もし『サイコパス』に3期があるとしたら狡噛はどうなるでしょうか。出番はあるのかないのか。あったとしてどのような扱いになるのか。ファンの1人として言わせてもらうならば、ここはやはり出してほしいと思うところです。1期の主人公ですし、シーアンで一応元気にやってます、では終わらないでしょう。上記しましたが劇場版で狡噛と朱を再会させ、会話をさせたことはあそこで終わり、ということではなく今後の伏線ではないかと思っています。
ただ、彼は日本では犯罪者で執行対象ですから、もし出てくるとしても朱たち公安局とは対立関係になっていると思います。そういう状況で彼らがそれぞれどのように動き、絡むのか。狡噛はやはり執行されてしまうのか。もはや彼に幸せなエンドはないような気もしますが、それでもファンは彼の生き様を最後まで見届けたいと思っているのです。