原点回帰の新シリーズ!映画『スパイダーマン ホームカミング』を考察してみた





マーベルの人気ヒーロー「スパイダーマン」の新作がいよいよ公開されました!マーベル・シネマティック・ユニバース設立以降初の作品となる今作は、これまでのシリーズと内容も雰囲気も全く違うスパイダーマンになっていましたのでこれを考察していきます!

これまでのスパイダーマンシリーズとの違いは!?

「お約束」をバッサリカット!


出典:映画『スパイダーマン』公式Twitter

今作は主人公ピーター・パーカーが、アイアンマンことトニー・スタークと共にベルリンに同行し、映画『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』の飛行場での戦闘にスパイダーマンとして参戦する場面から始まります。この時点では既にピーターはスパイダーマンとして近所を飛び回り、ニューヨークに出現した謎のヒーローとして話題になっています。

つまり、これまでのシリーズでお約束だったクモに噛まれる場面や、能力に気付く場面、ベンおじさんの死、などは全てバッサリカットされた状態で本作は進んでいきます。この冒頭からも、これまでとは違うスパイダーマンを見せよう、という製作者側の意気込みが伝わってきます。

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2017-07-31

ギャグ満載のお喋りスパイダーマン!?

『シビル・ウォー』に登場した時も話題になったのは、新しいスパイダーマンはよく喋るということです。トビー・マグワイヤ版からアンドリュー・ガーフィールド版へと口数は多くなっていきましたが、今回のトム・ホランド版はこれまで以上によく喋りながら敵と戦います。これは原作のスパイダーマン自体がよく喋るのでオリジナルに近づけた感じでもあります。そして、よく喋って下らない冗談を言う軽いスパイダーマンの雰囲気はこの映画全体の雰囲気ともマッチしています。

オープニングとエンディングに流れるラモーンズの『電撃バップ』が今作の雰囲気を表現しています。突き抜けて明るくて楽しいこの曲同様、今回のスパイダーマンも大変な状況でも明るさを忘れません。ちなみに、ラモーンズはスパイダーマンの舞台と同じニューヨークのクイーンズ地区出身のバンドでもあります。

キャストの人種の多様性にも注目!

クイーンズ地区は移民の町として知られており、世界の中でも最も民族的多様性に富んでいる地域と言われています。これまでのスパイダーマンシリーズは、主人公はしょうがないとしても、ヒロインや友人などはほとんど白人が演じていました。しかし、今作の登場人物は様々な人種によって構成されています。

まず、ピーターがお世話になっているメイおばさんはマリサ・トメイが演じており彼女はイタリア系。ピーターの唯一無二の親友ネッドを演じるのはジェイコブ・バタロンという新人俳優でフィリピン系です。ピーターが想いを寄せるヒロインのリズは設定では黒人と白人のハーフです。ピーターが通っている高校の生徒たちもなどまさに移民の町クイーンズを体現しています。

これは完全に製作者側がクイーンズ地区の「多様性」というものをしっかりと描くという意図が込められており、あの大統領へのメッセージかもしれません。

ピーターにとってバルチャーはどんな存在なのか?

悪役を演じるのはマイケル・キートン!


出典:映画『スパイダーマン』公式Twitter

主人公以外でクイーンズに住んでいる設定の白人キャストは、今作の悪役バルチャーを演じるマイケル・キートンです。彼はティム・バートン版のバットマンを演じた後、一時は仕事が減っていたのですが、2014年の映画『バードマン (あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で見事カムバックを果たしました。

『バードマン』では、彼の『バットマン』でのキャリアをメタ的に使った演出が話題になりましたが、今作も『バードマン』『バットマン』と似た造形のコスチュームを着ていることが話題となっています。また、『バットマン』はマーベルのライバル、DCコミックのヒーローでもあるため、今作の対決は「新しいマーベルのヒーローVS昔のDCコミックのヒーロー」という構図でもあります。

常に「父親」に立ち向かうピーター

この悪役バルチャーですが、今作の中盤で彼はリズの父親だったことが判明し、彼女に恋をしているピーターは動揺します。スパイダーマンはこれまでのシリーズでも「父親」的なる存在との戦いを強いられてきました。サム・ライミ版の一作目の敵グリーン・ゴブリンはピーターの親友ハリーの父親でしたし、『アメージング・スパイダーマン』の敵カート・コナーズはピーターの父親の共同研究者でした。

スパイダーマンにおける敵とは、父親が不在だったピーターにとって、超えなければならない父親的な存在である場合が多く、今回の敵も自分が成長するために戦わなければならない相手だったのです。

監督ジョン・ワッツの過去作もチェック!

監督のジョン・ワッツは今まで長編映画2作しか撮っておらず、長編3作目でマーベルの大作映画の監督を務めることになったのですが、これまでの作品と今作との共通点を挙げるとしたら、「子供が大人の怖い世界を知り成長する話」という部分ではないでしょうか。

1作目の『クラウン』はピエロの変装が取れなくなってしまい、そのまま身も心も悪魔になってしまった男が、子供を食べるために襲い続ける話でした。2作目『コップ・カー』も乗り捨てられたコップカー(パトカー)に乗って遊んでいた子どもたちが、そのパトカーの持ち主である悪徳警官から怖い目に遭わされる話です。

今作でも幼い風貌のピーターは、バルチャーから力の差を思い知らされます。しかし、『コップ・カー』の主人公と同様、現実を知ったピーターは自分が大人になるために父親的な存在であるバルチャーに立ち向かっていきます。