ハリウッドの革命児!デヴィッド・フィンチャー監督のオススメ映画BEST5





現在のハリウッドで最も脂がのっている映画監督と言えば、デヴィッド・フィンチャーの名前が挙がるでしょう。今回は新作が公開される度に話題となるフィンチャー映画のBEST5を紹介します。まだ彼の作品を知らない方でも、これを期に鑑賞してみて下さい!

反骨精神の革命児!デヴィッド・フィンチャーとは?

CGを厭わない完璧主義者!


出典:ゴーン・ガール公式Twitter

フィンチャーの映画監督としてのキャリアは、映画『エイリアン3』の監督に抜擢されたところから始まります。リドリー・スコット監督もそうでしたが、映画監督以前にミュージックビデオやCMを手がけていたこともあり、映像に関しては完璧を追求し、彼の映像は画面の隅々までCG加工によってガッチリと制御されています。自分の中のイメージを映像に抽出するためにはCG等どんな手法も厭わないというスタンスの監督です。

描くのは常に「弱者が起こす反逆」の物語

彼の作品で一貫しているのは「弱者が起こす反逆」の物語ということです。これはデヴィッド・フィンチャー監督のキャリアとも関係しています。彼の監督デビュー作の映画『エイリアン3』は批評家から酷評されますが、次作の『セブン』で彼の評価は一発逆転します。

近年でも、映画『ドラゴン・タトゥーの女』が興行的に失敗した後は映画業界から一時的に干されていたのですが、その間にテレビ業界に進出し、Netflix配信ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を大ヒットさせ、映画『ゴーン・ガール』の監督として、見事ハリウッドに復活します。

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は一度受けた屈辱を晴らすためにどんな手を使ってでも権力を手に入れていく政治家の物語でしたが、これはまさに、屈辱的な経験を跳ね返して、ハリウッドのトップに君臨したフィンチャーとも重なります。彼の作品を観賞する際は「反逆」「革命」というテーマを念頭に置いて鑑賞してみてください。

第5位『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年)


ドラゴン・タトゥーの女(出典:Amazon)

スウェーデンを揺るがせた財界汚職事件の告発記事を書きながら名誉棄損裁判で敗訴したミカエルは意気消沈の日々を送っていた。ある日、彼のもとにスェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人から家族史編纂の依頼が舞い込む。実はヘンリックの真の目的は40年前に起きた親族の娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。ヴァンゲルはハリエットが一族の誰かに殺害されたと信じていた。40年前に一族が住む孤島から何の痕跡も残さず消えた少女。成功の陰に隠された一族の血塗られた過去に気づくものの手がかりの掴めないミカエルは、一族の弁護士から天才的な資料収集能力の持ち主であるとして、ある人物を紹介される。リスベットという名の、顔色が悪く、拒食症患者のように、がりがりに痩せた女。この小柄な女の肩口から背中にかけて、龍の刺青(ドラゴン・タトゥー/ルビ)が異彩を放っていた。

出典:Amazonよりあらすじ引用

「ダークヒロイン」リスベットの誕生!

今作はスティーグ・ラーソンによる推理小説『ミレニアム』シリーズの第一巻を映画化したものです。原作者自身が、レイプされている女性を目撃しながらも助けることができなかったというトラウマを抱えていることもあって、シリーズ全体でスウェーデンにおける女性蔑視問題を取り上げています。

主人公であるリスベット・サランデルは天才的なハッカーでありながらも、精神異常者との烙印を押され後見人を付けられた不自由な女性です。さらに、彼女の新しい後見人は性的な虐待を彼女に行います。しかし、弱者の立場にいるリスベットは反骨の精神でこの後見人をコントロールすることに成功します。まさに、フィンチャー映画に相応しい現代的なダークヒロインが誕生した瞬間です。

今作は予告編にも注目!

今作の予告編は、レッド・ツェッペリンの名曲『移民の歌』のカバーが流れながら今作の映像を断片的に散りばめたもので、スタイリッシュかつダークな雰囲気、なおかつ高揚感に溢れた見事な予告編でした。この選曲はデヴィッド・フィンチャー自ら選んだもので、フィンチャーのCM作りのセンスが光る予告編です。

第4位『セブン』(1995年)


セブン(出典:Amazon)

2人の刑事が追うのは、怜悧な頭脳を持つしたたかな連続殺人鬼。男は七つの大罪のいずれかに該当する者を狙い、おぞましい殺人を繰り返していた。そして最後には観る者の心を食い破る、驚愕のクライマックスが待つ。

出典:Amazonよりあらすじ引用

後味最悪!想像を絶するクライマックス!

世の中には『ミスト』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように後味が最悪な映画が多く存在しますが、この映画『セブン』も間違いなく「後味最悪映画」の筆頭に挙げられるであろう作品です。ここではネタバレになってしまうので書けませんが、『ミスト』が無理だった人は観ない方が良いかもしれません(笑)。

殺人鬼が救世主になろうとするストーリー

今作の主人公はミルズ刑事とサマセット刑事ですが、裏の主人公はなんといっても配役自体がサプライズの殺人鬼でしょう。

彼はキリスト教における「7つの大罪」を元に連続殺人を行っていくのですが、これは7つの罪を背負った人物をそれぞれ殺害することによって、殺人鬼本人が救世主になれる、という信念のもと実行していきます。社会から阻害されていた彼が、罪に溢れかえった世の中に革命を起こそうとするストーリーでもあります。

第3位『ゴーン・ガール』(2014年)


ゴーン・ガール(出典:Amazon)

『セブン』『ドラゴン・タトゥーの女』の鬼才デヴィッド・フィンチャーが描く男と女の刺激的サイコロジカル・スリラー あなたはこの衝撃の展開に耐えられますか!? 5回目の結婚記念日に姿を消した妻 ダイニング居間の大量の血痕 妻の日記 結婚記念日の宝探しのメッセージ   エイミーに何が起きたのか―

出典:Amazonよりあらすじ引用

エイミー失踪事件の真相は…?

今作における「弱者」は何年も夫との辛い結婚生活に縛られた女性です。ネタバレ厳禁の映画ですので詳しくは書けませんが、失踪することになるエイミーが過去に日記を書いていた時のペンに注目すれば、映画の中盤のある展開に驚かされること間違いないでしょう。

ヒッチコック映画と似ている?

今作がよく指摘される点として、「サスペンスの神様」と言われるヒッチコック監督の映画と似ている点が挙げられます。今作は展開やテーマ的な部分がヒッチコックの『断崖』、『めまい』などと似ているとされているのですが、フィンチャー自身はそのような意図は全くありませんでした。

どうやら原作者のギリアン・フリンがヒッチコック映画のファンで、原作自体がそれらの映画と似ていただけのようです。

第2位『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)


ソーシャル・ネットワーク(出典:Amazon)

2003年。ハーバード大学に通う19歳の学生マーク・ザッカーバーグは、親友のエドゥアルド・サヴェリンとともにある計画を立てる。それは友達を増やすため、大学内の出来事を自由に語りあえるサイトを作ろうというもの。  閉ざされた“ハーバード”というエリート階級社会で、「自分をみくびった女子学生を振り向かせたい」―そんな若者らしい動機から始まった彼らの小さな計画は、いつしか思いもよらぬ大きな潮流の最中へと彼らを導く。  IT界の伝説ナップスター創設者のショーン・パーカーとの出会い、そして、社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへの成長。  一躍時代の寵児となった彼らは、若くして億万長者へと成り上がっていく。  と同時に、最初の理想とは大きくかけ離れた孤独な場所にいる自分たちに気づくが―。

出典:Amazonよりあらすじ引用

オタクがネット上に起こした革命の物語

今や誰もが使っている「フェイスブック」誕生の秘話を描いた映画ですが、演出的に事実を歪曲している部分もあり、全てが実際にあった話というわけではありません。ゆえに現実の当事者たちからの抗議も起こった映画ですが、今作は「スクールカーストの底辺の男が世界一のSNSサービスを発明する」という「革命」の物語でもあります。

この映画のモデルはあの名作?

「フェイスブック」によって主人公マーク・ザッカーバーグは巨万の富を得ますが、映画のラストシーンで彼の本心が明らかになります。巨万の富を得て周囲からは幸せ者だと思われている人物が実は幸せだと感じていなかった、という映画としては、歴史的名作『市民ケーン』が挙げられます。『市民ケーン』は当時実在したメディア王、ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルとした映画でしたが、『ソーシャル・ネットワーク』は撮影手法など『市民ケーン』を意識した部分も多くあり、まさに現代版『市民ケーン』と言える映画でしょう。

第1位『ファイト・クラブ』(1999年)


ファイト・クラブ(出典:Amazon)

不眠症に悩む若きエリートのジャック。彼の空虚な生活は、謎の男タイラーと出会ってから一変する。自宅が火事になり、焼け出されたジャックはタイラーの家へ居候することに。「お互いに殴り合う」というファイトにはまっていく二人のもとに、ファイト目当ての男たちが集いあうようになる。そして秘密組織“ファイト・クラブ”がつくられた!

出典:Amazonよりあらすじ引用

フィンチャー×ブラピコンビの傑作カルトムービー!

映画『セブン』にも出演したブラッド・ピットとフィンチャーが再びタッグを組んだ映画史に残る大傑作です。映像表現手法も斬新でしたが、ブラピが演じたタイラー・ダーデンというキャラクターが観客に与えた衝撃はとてつもなく大きなものでした。彼は圧倒的なカリスマ性を放ち、主人公である「僕」と共に「ファイト・クラブ」を指揮していきます。

公開当時は興行的には振るわず、批評家たちからも賛否両論だったのですが、ソフト化されてから人気になり、現在ではフィンチャー作品を代表するカルト映画となっています。

今作の危険すぎるメッセージとは!?

タイラー・ダーデンは金や名声には全く価値がないことを説いていきます。そして、銀行やクレジットカード会社を破壊して資本主義社会を崩壊させようとするのですが、この彼の思想が非常に危険だとして、この映画は批判されました。

更には、大手企業の商品や広告などを実名で登場させて皮肉っており、配給会社が激怒したのですが、それでも今作がカルト化したのは、そんな価値のない世界の中でも観客に生きることを問いかけた部分にあるのではないでしょか。

劇中、獣医を夢見ながらもバイトをしている人物にタイラーは銃を突きつけ、「今から必死で獣医になろうとしないなら今ここでお前を殺す」と脅します。これと同様に、我々観客にも必死で生きることを今作では説いており、映画のラストでサブリミナル的に“アレ”が映ることで、「お前らがこれからどう生きるのかをタイラー・ダーデンは見ているぞ」というメッセージを観客に意識させるのです。

フィンチャーの次回作!?『World War Z 2』

World War Z 2 Trailer 2017 HD

いまや新作公開の度に話題になるフィンチャーですが、彼の次の監督作はまたもブラッド・ピット主演で映画『ワールド・ウォー・ゼット』の続編『World War Z 2』(原題)になるそうです!

次はどんな「革命」を起こしてくれるのか!?公開は2019年予定だそうですが、今から楽しみです!