『双星の陰陽師』なぜ原作とアニメは違う物語を辿ったか?徹底考察!


2016年にファン待望のアニメ化がされた『双星の陰陽師』は途中から原作と離れオリジナルストーリーを展開しました。アニメとしてまとまってはいましたが、原作ファンにとっては少し物足りなさも感じるものでした。ここでは原作とアニメの違いを振りかえり、なぜ原作から離れたストーリーを展開したのかを考察します。

『双星の陰陽師』とは

原作はジャンプスクエアにて現在も連載中


出典:双星の陰陽師公式Twitter

『双星の陰陽師』は助野嘉昭による作品で、ジャンプスクエアに2013年12月号から現在も連載中です。

主人公の焔魔堂ろくろ(物語当初は14歳、現在は16歳)は陰陽師候補生でしたが過去の辛い経験(「雛月の悲劇」)をきっかけに「最強の陰陽師になる」という夢を封印し、普通の男子中学生として生活していました。そんな彼のところに「この世のケガレを全て祓う」という強い意志を持った陰陽師の少女、化野紅緒が現れ、さらにろくろと紅緒は「双星の陰陽師」として長きに渡るケガレとの戦いに終止符をうつ神子を産め、というご神託が下されることになります。最初はお互い反発しあっていた2人でしたが、影響し合いながら、支え合いながら絆を深め、成長していくバトルアクションストーリーです。

主人公とヒロイン2人の活躍だけではなく、共に戦う幼馴染みの音海繭良や十二天将らのキャラ立ちも設定もしっかり練り込まれた素晴らしい作品です。はたして神子の誕生までケガレとの決着はつけられないのか、それともろくろたちの代できっちり終わらせることができるのか、今後の展開が非常に楽しみな作品です。

2016年4月にファン待望のアニメ化


双星の陰陽師 1(出典:Amazon)

『双星の陰陽師』は2016年4月よりアニメ化され、1年間に渡って放送されました。キャスト陣も非常に豪華で、主人公ろくろには花江夏樹、化野紅緒には潘めぐみ、ろくろの師匠的存在であり繭良の父である天若清弦には諏訪部順一、紅緒の双子の兄である石鏡悠斗には村瀬歩、また十二天将の斑鳩士門に石川界人、鸕宮天馬に下野紘など、話題を呼びました。

アニメは原作よりラブコメ色がやや濃く、原作ではほとんど進んでいないろくろと紅緒の仲が少し強調されていました。また、原作漫画の5巻くらいまで(石鏡悠斗との一回目の戦いまで)はかなり忠実に沿っていたのですが、それ以降はアニメオリジナルストーリーが展開されていき、原作ファンの間では戸惑いの声も多くあがりました。

アニメ放送開始時点で原作は8巻まで出ていましたし、クラウンのほうではもっと進んでいたのですが…?なぜオリジナルストーリーを展開したのか、原作とアニメの違いなどを含め、独自に考察していきます。

原作とアニメの違いを振り返る

アニメではオリジナルストーリーを展開、オリジナルキャラも多数登場


出典:双星の陰陽師公式Twitter

アニメではろくろと紅緒が石鏡悠斗を一旦退け、その後2人で決意を新たにさらに強い陰陽師になることを誓うエピソード(第20話)以降、オリジナルストーリーとして「列島覇乱篇」と「天地鳴動篇」を放送しました。アニメは50話まで放送されたので半分以上はオリジナルストーリーだったことになります。その間、ところどころは原作で起こったエピソードを織り交ぜることはありましたがほとんどは全く別のストーリーが展開されていきました。

またそれに伴ってオリジナルキャラも多数登場します。アニメでは「闇無」という婆裟羅が敵となり、また、珠洲、鬼無里、百道、千々石など原作には登場しない婆裟羅が多数出てろくろたちや十二天将らと対峙しました。そしてその代わり、原作に登場していた氷鉋や聖丸は登場しませんでした。

原作ではまだ生きているキャラがアニメでは!?


出典:双星の陰陽師公式Twitter

また、ここが一番読者が混乱したポイントだと思うのですが、アニメでは石鏡悠斗がろくろとの死闘の末絶命した表現がされていました。本当に死んでしまったのかはハッキリと言えませんが、アニメを見る限り、そして2期がないならばあれは死んでしまったのだろう、と受けとれるのではないかと思います。

でも石鏡悠斗は原作では目下ろくろたちが急いで討伐しなければならない対象として、つまり「強敵」としてまだ生きているのです。もちろん、アニメでは最終回までに「区切り」が必要だったのだろうというのは分かりますが、それでも他の結末はなかったのか、と原作ファンの間では戸惑いの声が多く上がりました。

なにより今後原作で同じような結末になるのではという先入観を与えることにもなってしまったわけです。

主人公ろくろの背負った運命の違い


出典:双星の陰陽師公式Twitter

原作のろくろは6巻・7巻の「見極めの儀」にて呪護者が「安倍晴明」であることが判明しています。ただし原作の晴明は少女の姿をしており一般に伝承されている安倍晴明=男性という像とは少し違います。陰陽どちらかといえば「陽」の存在であり、見極めの儀で晴明が顕現した際にはろくろに対して「我が子よ」と呼びかけていました。このあたりはなんらか複雑な事情があるようですがまだ原作でも晴明とろくろの関係は明らかにはなっていません。

アニメの晴明は伝承されている通りの、若い男性の姿で描かれており、彼はろくろの呪護者でもなんでもない設定でした。彼は1000年前に陰の気を封じるべく禍野と現世とを分け、また将来陰の気が増幅してくるようならばその「陰の気を生み出す」元凶である人間たちを滅ぼし、世界を一から構築するべくそのために「破星王」なるものを用意しました。それが焔魔堂ろくろなのです。

つまりアニメのろくろは世界を滅ぼす「破星王」という宿命を背負っていたのでした。陰陽どちらかといえば「陰」の存在です。そして実際アニメでは破星王になってしまい、世界を混乱に陥れることになります(紅緒によって救われます)。

なぜアニメではオリジナルストーリーを展開したのか?

1、2クールで終わるには登場人物が少なすぎた?


双星の陰陽師 3(出典:Amazon)

原作はそこそこストーリーが進んでいたにも関わらず、半分以上をオリジナルストーリーに費やしたのはなぜなのでしょうか。または、最初の石鏡悠斗との戦いのところまでで終わっておけば、区切りも良く原作に沿ったまま綺麗に終わり、2クールで収まったのでは、と思います。

ただ、ここからは個人的な憶測・考察になりますが、そこで終わるには登場人物が少なすぎたのかなと思います。『双星の陰陽師』はろくろと紅緒の2人の物話ではありますが原作6巻以降は十二天将たちが登場し、ストーリーがさらに膨らんで盛り上がってくる展開になっています。その十二天将を出さずにアニメを終えるわけにもいかなかったのでしょう。

そして原作では物語が終わってない以上、十二天将を全員出して活躍させるにはオリジナルストーリーにして(多少無理があったとも思うのですが)ストーリーを進めるしかなかったのでは、と。

原作にはやや過激な表現も


出典:双星の陰陽師公式Twitter

それからこちらもファンの間で交わされていた憶測などを含め個人的に考察したものとなりますが、原作で登場した氷鉋と聖丸という婆裟羅との対決の際にやや過激な表現、セリフが多用されており、平日夕方の放送時間帯ということを考慮した可能性もあるのかなと思いました。

バトルアニメなので多少流血表現があるのは仕方ないのですが、彼らとの対決のときは少しそれが過剰でもありました。そのエピソードではろくろと紅緒、繭良と十二天将である斑鳩士門の4人が団結して闘う、というのがポイントだったのですが、アニメでは聖丸と氷鉋のポジションを同じような2人組である千々石と百道という婆裟羅に置き換えて舞台も禍野から彼らの通う高校に替え、そのポイントだけは描いていましたので、その説は否めないと思います。

ただ、聖丸・氷鉋ファンにとっては少々物足りなさを感じたことも確かです。

アニメ2期の可能性について考察

原作者も願う!2期の可能性について


双星の陰陽師 BD破星篇(出典:Amazon)

『双星の陰陽師』2期の可能性についてはどうでしょうか。現実的な見方をすれば、原作者の助野嘉昭本人が2017年1月終わりごろに発信していたツイートしていた内容によれば、「グッズやDVDの売り上げによっては動いてくれるかも」ということらしいので、今のところはまだ予定はなさそうです。が、何年かたって続編が放送、というケースもありますので、DVDなど売り上げが良ければ、またファンの熱意が届けば、「ない」とは言い切れない、といったところでしょうか。

やるとしたら原作のどの部分?

そしてもし2期があるならどんなストーリーになるのでしょうか。一応アニメでは「大きな危機は一旦去った」がケガレがいなくなったわけではないので、ろくろや紅緒ら陰陽師たちは日々鍛錬しつつケガレ祓いをしている…という終わり方でしたので、2期をもしやるなら原作の9巻あたりから、ろくろが土御門島に渡り、十二天将らと関わっていくところあたりから始めればあまり違和感がなく続けられそうですね。もちろん、細かい設定の違いは修正しなくてはならないと思いますが。

ここまで色々書いてはきましたが、原作抜きで「アニメだけ」で見ればまとまってますし、良い作品だったと思います。ただ、原作ファンにとってはアニメ化を楽しみにしていた分、「あのエピソードがない」「あのキャラが出ていない」となってしまって、戸惑ってしまう部分も多かったということです。

アニメから『双星の陰陽師』を知った方、好きになったという方には是非、原作のほうもチェックしていただければ、と思います。