真の最期は7部?最強のカリスマ・ディオ(DIO/Dio)の人生を徹底考察


『ジョジョ』を読んだことがなくても、シリーズ1の悪役“ディオ”のことは知っているという人も多いでしょう。作中でも屈指の人気を誇る彼は、第1部での登場から平衡世界の第7部まで、歴代主人公たちの運命を翻弄(ほんろう)し続ける悪役です。彼のカリスマ的な魅力の理由とは?

歴代ジョジョと深い因縁を持つ“運命”の象徴ディオ


JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN(出典:Amazon)

作者・荒木飛呂彦をして、「実質的な主人公」とまでいわしめたほどの悪役ディオ・ブランドー。彼は第1部でジョースター家を乗っ取るためにジョナサン・ジョースターの前に現れ、一度は海に沈んだものの100年後に復活するなど、歴代の主人公たるジョジョたちに大きな試練として立ちふさがりました。「時を止める」という能力を身に着けたことからも、いわばジョースター一族が乗り越えるべき“運命”の象徴たるキャラクターです。

『ジョジョ』シリーズ全編における存在感の大きさから、読者の人気も高い悪役ディオ。この記事では、彼の人気の理由を含むキャラクター性について考察し、まとめています。また、第1部で吸血鬼となったところまでをディオ、スタンド能力を得た第3~6部ではDIO、第7部登場の平行世界ではディエゴ/Dioと区別します。

ディオ・ブランドー|生まれついての悪というカリスマ

No.1になるという目標にまっすぐな純然たる“悪”


ジョジョの奇妙な冒険 第1部 2(出典:Amazon)

ジョースター家を乗っ取るためにやってきた、当主のひとり息子ジョナサンと同い年の貧しい少年。それが、ディオ・ブランドーでした。そのとき既に彼はすべてにおいてNo.1になるという確固たる人生哲学を掲げており、そのための人心掌握術にも長けていました。

10代半ばとは思えない実行力を備えていたディオ。それは彼が作者の言うところの“悪”そのものだったからでしょう。作者の考えでは悪とは、生き方は筋が通っているけれど社会的に間違った人間のことだそうです。ディオはNo.1になるためにはどんな非道も辞さない少年でした。まっすぐ目標に向かって突き進む姿勢は一貫していますが、そのための方法は反社会的。しかも幼少期にはその生き方を確立していたのですから、まさに作者の語るとおりの悪役像です。

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そしてディオの人気の理由も、生まれついての純然たる悪であるという点にあります。甘ちゃんのジョナサンへの鋭い先制攻撃や、エリナへの強引なキスなど、彼の揺るぎない悪役ぶりと抜きん出た実行力には、まさに読者は「シビれるあこがれるゥ!」状態でした。想像を超えた卑劣な行為を堂々と行われると、人間はその強さに圧倒され、時に心酔してしまうものです。

またディオがそのように悪の魅力たっぷりに描かれたのは、作者・荒木飛呂彦が悪役に強い思い入れをもって描くタイプだったからでしょう。ディオに限らず荒木の生み出す悪役たちは、その生き方に心奪われてしまうような独特の美しさがあります。実際悪役の台詞の方が名言として知られていることも多く、中でもディオは真似してみたくなるようなセリフを多く残しています。

DIO|吸血鬼とスタンドで君臨する最強のカリスマ

スタンド「ザ・ワールド」を得た第3部DIO!第4~6部にも影響


ジョジョの奇妙な冒険 第3部 8(出典:Amazon)

時を止めるスタンド「ザ・ワールド(世界)」を手に入れたいわゆるDIOが、最も多くの人間が思い描く彼の姿ではないでしょうか。第3部がジャンプ最盛期に連載されていて、かつ王道の熱い展開に最強の悪役として立ちはだかったことが、その最大の理由でしょう。

しかも第3部で倒された後も、その末裔たちの運命にかかわり続け、第5部では彼の残した息子ジョルノ・ジョバァーナが主人公を務めるまでに。さらに第6部ではジョルノ以外のDIOの3人の息子が、承太郎の娘・徐倫の行く手を阻み、生前親交のあった神父エンリコ・プッチはDIOの遺志を継いで承太郎や徐倫たちと闘いました。シリーズ通しての存在感は抜群といえるでしょう。

「悪には悪の救世主が必要」肉の芽だけでない強いカリスマ性


ジョジョの奇妙な冒険 第3部 10(出典:Amazon)

しかしDIOが最も有名かつ人気がある最大の理由は登場回数ではなく、スタンド「ザ・ワールド(世界)」チートさと、研ぎ澄まされたカリスマ性でしょう。第3部の象徴としてよく上からDIOが、下から承太郎が互いににらみ合っている絵が用いられますが、これが第3部におけるキャラクターの関係性をよく表しています。

時を止め、止まった時の中を自分と自分のスタンドのみが動けるという能力を完成させたDIOは最強であり、それに挑む主人公・承太郎は果たして彼に勝てるのか!?と、当時の読者は絶望的な気持ちで戦いを見守ったものです。そして同時に、自信満々で100年前と比べても貫禄たっぷりのDIOの立ち姿に、強いカリスマ性を感じました。

DIOの信奉者の1人、ンドゥールが、「悪の救世主」と表現しましたが、その言葉通り第3部のDIOは悪の頂点に君臨するカリスマそのものでした。その存在感こそが、彼の人気の最大の理由なのです。

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ディエゴ・ブランド―(Dio)|すべての“因果”を被った最後のディオ

Dioは「生まれついての悪」ではない? 母親との過去


STEEL BALL RUN vol.17(出典:Amazon)

前述のとおり、ディオ・ブランド―といえば、「環境のせいではなく生まれついての悪」。確かに燃えさかる野心と、育ての親にも恩すら感じない非情さは、環境になど左右されない彼の根本的な性質です。

しかし一方、第7部に登場したDioことディエゴ・ブランドーは、少年時代には年相応の純真さがありました。彼が富や名声を強く欲するようになったのは、唯一の肉親である母を貧困のせいで亡くしたことがきっかけでした。貧しい自分たちを助けてくれなかった世の中を恨み、復讐を誓ったのです。それはとても人間らしい感情だといえます。

また彼は成り上がり志向こそ強いものの、ディオのように天井知らずの野望を持っているわけではなく、あくまで自分の能力で達しうるレベルの成功を目指していました。第7部開始当初はラスボスではなかったことも理由でしょうが、時には誰かと共闘したり、何度か窮地に立たされたりという場面も多々あり、カリスマとは程遠い生身の人間らしさが感じられます。これが他のディオたちとは違ったディエゴ・ブランド―の特徴であるといえるでしょう。

世界Dioの“真の最期”にこめられたテーマ「因果応報」

さて、第7部でいわゆる基本世界に存在し恐竜化の能力を持つ「恐竜Dio」は志半ばで倒れ、別世界から時を止めるスタンドを操る「世界Dio」がやって来ました。この突然の「世界Dio」の登場に行き当たりばったり感が否めなかった読者も多いことでしょうが、実は世界Dioの最期こそ、第7部のテーマを最もよく表した重要なエピソードなのです。

ジョジョシリーズでは各部の最後にテーマが語られますが、それを鑑みるに、第7部のテーマは「帰る」ということ。人が、心が、行いが、全て最終的には元あった場所に帰っていくという因果応報論にのっとって描かれたのが第7部でした。

世界Dioはあと一歩ですべてを手に入れられるというところで、「帰って」きた「首」のせいで消滅してしまいます。この首はもちろん恐竜Dioの首ですが、第7部はいわば第1部の平行世界。第1部でジョナサンの体を乗っ取ろうと現れた首だけのディオになぞらえたと考えられます。すなわち、全ての始まりとなったディオの企みが、並行世界のDioに「帰って」きたのです。

とすれば第7部のDioの死はディオ(DIO、Dio)の真の最期であり、今後一切のジョースター家との因縁は断たれたということかも…? 現時点で第8部に全くDioの影がないことからも、第7部の最期がおそらくすべての因果の完結であったことは間違いないでしょう。

TVアニメではカリスマ的悪役声優・子安武人が熱演!


ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 第2巻(出典:Amazon)

2012年から放送されたTVアニメでディオ(DIO)役を担当したのは、悪役声優として名高い子安武人。これまで多くの魅力的な悪役を演じてきた子安にとって、ディオは非常にしっくりくるキャラクターだったようで、数々の名言を最高にハイ!に再現しました。また番組ラジオなどでの彼独特のディオ論は一聴の価値あり!

TVアニメ放映以降はゲームなどでもすべて子安が担当していますが、これまでに塩沢兼人、若本規夫、田中信夫、千葉一伸、野島健児、緑川光、加藤将之らもゲームやアニメでそれぞれのディオを演じています。