とても上質なB級SF映画!?映画『ライフ』をネタバレ考察してみた





B級SF映画のような雰囲気なのに、有名な俳優たちが出演していることで話題の映画『ライフ』。今回はこの映画のタイトルの意味や、これまでの同じジャンルの映画との比較を見ていきたいと思います。ネタバレを含みますのでご注意ください。

『ライフ』はB級映画感満載の傑作!?

夏休みにピッタリ(?)なB級SF映画!


出典:ソニー・ピクチャーズ公式Twitter

今回取り上げる映画『ライフ』ですが、ポスターや予告編から漂ってくるのはずばり「B級映画感」でしょう。あらすじをざっくりと説明すると、ISS(国際宇宙ステーション)で活動している宇宙飛行士が、火星で発見した未知の生命体に襲われる、というもので、ストーリーが定型化された、「ジャンルムービー」というものに分類される映画です。

この「ジャンルムービー」はストーリーに注目するよりは、そのジャンルにおける映像表現手法をどのように更新しているか、が評価の分かれ目となってくるのですが、映画『ライフ』はどうだったのでしょうか。

『ゼロ・グラビティ』+『エイリアン』?

映画の冒頭、登場人物が無重力状態でISSの中を活動する様子がワンカットで流れます。このシーンは完全に『ゼロ・グラビティ』を意識している部分でしょう。天才カメラマン、エマニュエル・ルベツキの長回しによるワンカットの無重力映像が話題となった作品でしたが、2013年に公開されたこの作品と比較しても、技術的な進化の成果もあってか、大人数のクルーが映る無重力映像をワンカット風に仕上げている点で、見応え充分なシーンとになっています。

また、未知の宇宙生命体に襲われるという展開は『遊星からの物体X』や『アビス』などと類似していますが、今作が最も近いのはやはり『エイリアン』シリーズです。設定もそのままですし、睡眠ポッドに逃げるシーンや、火炎放射器で応戦するシーン、また宇宙生命体の主観映像を入れる部分まで、『エイリアン』シリーズへのオマージュに溢れた作品でもあります。

よくあるB級映画とココが違う!

B級映画でもキャストはA級!

今作の最大のウリはなんといっても、ジャンルムービーには勿体無いほどの豪華キャストの共演でしょう。ハリウッドを代表する演技派俳優ジェイク・ギレンホールに、『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』に出演のレベッカ・ファーガソン、『デッドプール』で一躍スターの仲間入りを果たしたライアン・レイノルズ、そして日本が誇るアジアスターの真田広之らが、B級映画にはもったいないほどの華やかさを与えています。

『デッドプール』と同じ脚本家が今作に参加していることもあるため、ライアン・レイノルズのギャグシーンは恐らくアドリブと考えられます(ハリウッドのコメディ映画はコメディ俳優のアドリブをそのまま活かす作りが基本です)。

今作における新しい映像表現は?


出典:ソニー・ピクチャーズ公式Twitter

毎度お馴染みのストーリーに沿って今作は進んでいきますが、個々の表現にも新しいアイデアが込められています。まずはなんといっても未知の生命体「カルビン」の造形でしょう。大きなイカの塩辛のようなその容姿はとても無機質で、まさに「生命体」という言葉そのものを具現化したような掴みどころのない造形になっています。

また、このカルビンの最初の攻撃は生物学者のヒューの指を折るという、一見地味だが傍から見ていてもかなり痛そうなもので、このシーンは予告編でもメインで用いられるほどのインパクトを持ったシーンであり、今作の注目ポイントです。

これまでB級映画のエイリアンは、何故人間を襲うのか動機が分からないものも多かったのですが、カルビンは水を求める、という生物学的にも明確な目的のもとで人類に対し攻撃してきます。キャット司令官が船外で襲われるシーンも、カルビンは彼女を殺したくて殺そうとしている訳ではなく、宇宙服の水を得るために攻撃しており、このカルビンの無機質な動機が、今作における「襲われたら一巻の終わり」というような緊張感を高めています。ちなみに、キャット司令官の最期も、これまでの宇宙ものの中でもありそうでなかった演出でとても斬新でした。