山岳救助を描いた漫画『岳』の作者・石塚真一が2013年から連載している漫画『BLUE GIANT』。今回はJazzがテーマ!迫力ある画で「音楽が聴こえてくる漫画」として認められ、主人公が努力して大成するサクセスストーリーで評価も高く、各漫画賞を受賞!主人公の姿に心打たれ、「自分も頑張ろう」と思えるようになること必至!
面白すぎる漫画『BLUE GIANT』とは?
漫画『岳』では2008年に第一回マンガ大賞を受賞し、実写映画化されるなど、新人漫画家であるにも関わらず、作品の評価がすこぶる高い石塚真一。その石塚が2013年より『ビックコミック』にて連載している漫画が『BLUE GIANT』。『BLUE GIANT』もマンガ大賞2016で3位に食い込み、第62回「小学館漫画賞」を受賞。さらに第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞するなど、評価が高い作品です。
テーマはJazz!主人公の仙台の高校生・宮本大がJazzに打たれ、経験も無いのにサックスを吹き始めるところから物語は始まります。大はそれまでバスケ部だったので、もちろん音符も読めず、音楽もましてやJazzに関する知識なんてゼロ!普通なら三日坊主で終わるような展開ですが、大は1年のうち365日毎日練習し続けます。
既刊10巻で、高校編+東京編で物語は一度幕を下ろします。東京での経験を経て、大は新たに世界へと旅立ちますが、その物語は『BLUE GIANT SUPREME』としてあらたに2016年より同じく『ビックコミック』で連載中!こちらは2017年7月現在、既刊2巻。
漫画『BLUE GIANT』の魅力を徹底解剖!
それではここからは、漫画『BLUE GIANT』をまだ読んだことが無いという方のために、その魅力を徹底解剖していきます。漫画『BLUE GIANT』がファンたちの心をつかんで離さない理由はここにあり!
『アメトーーク!』でも絶賛!漫画から音が聴こえてくる!
2017年6月29日放送のテレビ朝日系列『アメトーーク!』にて、『BLUE GIANT』が絶賛されていました。やはり「紙から音が聴こえてくる」と石塚の画力の高さを評価。この漫画は、演奏シーンに本当に力を入れています。
例えば、第8巻。大とトリオを組んでいるピアニストの雪祈は、自分のソロプレイが単調であることに悩んでいます。一晩かけて徹夜して、ピアノを弾き続ける雪祈。その悩みに気づいた大は、翌日のお客の前でのパフォーマンス時に、雪祈にソロを促します。第60話のソロ演奏シーンですが、なんと、16ページにわたって描かれます。そこでト書きやセリフはごく一部。ほとんど雪祈がピアノを激しく奏でる画です。
圧巻のそのシーンからは、雪祈が苦しみの末に何かをつかんだことが伝わってきます。『BLUE GIANT』には、そんな演奏シーンがたくさんあり、ほぼ1話を大迫力の鬼気迫る画のみで伝えてくることも。漫画で音楽を描くというのは、難しいことですが、こういった手法によって、読者は聞こえないはずの音が紙から聴こえてくるという体験を得ることになります。
1巻は我慢!2巻以降加速度的に面白くなる!
筆者が『BLUE GIANT』と出会ったのは、2015年でした。きっかけはマンガ大賞。2015年のマンガ大賞にも『BLUE GIANT』はノミネートされており、5位でした。その時点で既に7巻まで発刊されており、1巻から読み始めたのですが…。感想は「ん?これ面白い?なんかアホな主人公の青春漫画?失敗?」でした。
1巻がイマイチ…という評価は筆者だけでなく、やはりままあり…。でもマンガ大賞で評価されているんだからと読み進めていくと、2巻以降は加速度的に面白くなります!3巻以降になると画も安定し、画面から音が聴こえる現象が!そして、東京編に入り、トリオ「ジャス」を組むころには、もう続きが気になってしょうがない展開に!とにかく、最初の1巻を過ぎれば、あとはもう読むしかなくなりますので、ご注意を!
主人公・大が努力し続ける姿に打たれる!
世の中、大成している人たちがこぞって口にするのは「継続」の大切さと「あきらめない」ということ。この二つを主人公の大は、見事に実行します。そして同時に感じるのが「運命」という二文字。雷に打たれたかのように、Jazzに衝撃を受けてしまった大。なぜかこれが自分の一生の仕事になると感じ、サックスを吹かなければならないと感じ、サックスを吹かずにいられなくなった大。これを「運命」と言わずに何と表現すればいいのでしょうか。
主人公の大は決して天才型ではありません。サックスを吹いたその日から良い音が出たわけではなく、仙台時代には、初めて立ったステージで「うるさい」とお客さんに一喝されて終わったことも。
それでも決してへこたれず「へでもない」とサックスを吹き続けるのです。大がひたむきに努力し続ける姿には、おそらく多くの人が心打たれるはず!今、何かに躓いて倒れそうになっている人も、きっと『BLUE GIANT』を読めば、「へこたれている場合じゃない」「前へ進もう」「とにかくやり続けてみよう」と勇気をもらえるはず!
周囲の人間たちの密かなる熱い想いもまたイイ!
漫画『BLUE GIANT』の良いところは、「悪い人間が出てこない」というところ。大が何かしら関わる人間たちは、大の熱い想いに感化され、その想いに触れたがために、自らの内にあった忘れかけていた何かに気づき、結局、大を応援したり、そっと見守ったり、逆に大によって勇気づけられ前へと進んだりします。
作中、特に人気なのは大のお兄さん。大の家族は母親に先立たれており、父親と兄、そして妹という家族構成です。お兄さんは一家を支えるべく、高校卒業後に働きに出ています。大にサックスを買い与えたのは、お兄さん。しかも「この店でいちばんいいやつ」と51万6千円もするサックスを36回ローンで購入!また、大の父親も大の妹も大を応援し、大に影響を受けています。そして、大の師匠・由井や親友・玉田、さらに天才ピアニストと騒がれていたこともある雪祈も。みんな大の熱い想いに感化された人たち。
こういった周囲の人たちの温かい想いや行動を見ると、つい涙腺が緩んでしまいます。石塚漫画の良いところは、心を動かすパワーがあるところ。1巻以外はどの巻も、必ず2~3カ所、涙腺崩壊する場面があり、続きが読みたいのに「ふーーーー」っと一回休憩を挟まないと読み続けられないことも。ほんとにスゴイ漫画です。
石塚漫画にイケメン登場!?
最後に蛇足ではありますが、『BLUE GIANT』には何とイケメンが登場します。前作『岳』ではイケメンというイケメンは登場していなかったと思うのですが、今回は、おそらくかなり狙って登場させています。
それは、ピアニストの雪祈。個人的な意見になるかもしれませんが、ピアニストって、やっぱり見た目も大事だと思うんです。この人のこの繊細な指から奏でられる音楽を聴きたいと…女子ならきっとそう思うことがあるかと!
おそらく石塚先生もこのあたりを意識したのではないかと思うのですが、雪祈はかなりのイケメンです。第8巻58話ではわざわざ雪祈のシャワーシーンも!女子が萌えた雪祈ですが、やはりここは『岳』の石塚先生…。第10巻では「こんな結末あり!?」という驚くべき雪祈のラストを用意しています。筆者はその場面を読みつつ「やっぱりな…、やっぱり石塚だよ…」とつい石塚先生を呼び捨てに…。気になるラストはぜひ、10巻でご確認を!
主人公・大の方向性が見えた10巻!続きは『BLUE GIANT SUPREME』へ!
漫画『BLUE GIANT』は、10巻帯に「奇跡のようなトリオだった」とあるように、トリオ「ジャス」のラストステージにて幕を下ろします。そして、10巻では登場人物が大体涙を流します。それは、やり切った涙だったり、どうにもならない想いに対する涙だったり…。とにかく、ガンガンに心を動かされること間違いなしの10巻です。
そして、10巻を終えて、大の目指すべき道がより明確になりました。大のその後の活躍は、『BLUE GIANT SUPREME』にて、引き続き連載されます。『BLUE GIANT SUPREME』ではいよいよ海外へ!大のサックスは海外でどのように大成していくのでしょうか!? さらに温度を上げて、『BLUE GIANT SUPREME』は走り続けています!