牧元教授のヒントからゴジラの正体を考察!映画『シン・ゴジラ』徹底解説【後編】」





映画『シン・ゴジラ』のラストシーンの尻尾に付いている人間らしき姿はネット上などで大きな話題になりました。今回はこのラストの尻尾の意味を、牧元教授が船内に残した「春と修羅」と合わせて考察し、ゴジラの正体と庵野秀明の作家性に迫ってみたいと思います。

あなたは何人見つけた?隠れキャスト紹介!


シン・ゴジラ DVD2枚組(出典:Amazon)

映画『シン・ゴジラ』では総勢329名というキャスト陣の多さが話題となりました。有名人にも関わらず出演時間が数秒だけというキャストも少なくありません。そんな有名人キャストを何人か紹介します。

前田敦子

言わずと知れた元トップアイドル。数々のプレッシャーに打ち勝ってきた彼女も、ゴジラの出現によるトンネル事故の前ではパニックにならずにはいられませんでした。一瞬しか映らないのでコマ送りで確認してみてください。

斎藤工

今をときめくイケメン俳優は、陸上自衛隊第1戦車中隊長として、タバ作戦の戦車部隊の指揮を執ります。ピエール瀧とともに美味しい役でしたが、ゴジラの逆襲によって橋桁の下敷きに…。

3人の生物学者

ゴジラの正体が不明の段階の有識者懇談会で、総理官邸に招集される3人の有識者を演じているのは3人とも映画監督です。

1人目に意見するのは犬童一心。代表作は『ジョゼと虎と魚たち』。2人目は緒方明。代表作は『独立少年合唱団』。最後に意見するのは原一男。代表作は『ゆきゆきて、神軍』です。3人とも名作を撮ってきた映画監督ですが、劇中では何の役にも立ちませんでした。

牧元教授の写真の人は誰?

映画の鍵を握る人物としてゴジラの研究を行っていた牧吾郎という人物が浮かび上がってきます。劇中、彼の顔は写真のみで明らかになるのですが、この顔写真の人物は岡本喜八という映画監督です。監督の庵野秀明は岡本喜八の影響を強く受けており、今作も『日本の一番長い日』や『激動の昭和史 沖縄決戦』などに見られる、政府の中枢の人物たちによる群像劇という点などの類似点も指摘されています。

ラストの尻尾はなに?牧元教授が残した謎

グローリー丸に残したヒント

ゴジラ出現の直前に、海上自衛隊がグローリー丸という小型船舶の中で牧元教授の遺留物を発見します。最終的にはこの遺留物がゴジラを倒すヒントになるのですが、彼の行動には謎が多く、ネット上などで様々な憶測が飛び交いました。

ネット上に広がる「ゴジラ=牧元教授説」

特に彼に関して多いのは、ゴジラの正体は牧元教授なのでは?という憶測です。映画のラストの人間らしい形のものがゴジラの尻尾と同化しているシーンを観ると、ゴジラには人間的な要素が含まれており、それはゴジラの研究をしていた牧元教授だ、と言える気もします。筆者である私もこの説には説得力があるように感じます。

しかし、なぜゴジラを出現させる必要があったのでしょうか。日本政府に恨みを持っていたから東京を破壊しに来た、という意見もあります。劇中でもそのようなことは言及されていましたが、妻を亡くした人物が多くの市民を犠牲にさせるような破壊行為だけを目的とするとは考えにくいです。この、ゴジラを出現させる目的さえ明確になれば、ゴジラの正体は牧元教授だ、とはっきり言えることが出来るのではないでしょうか。

牧元教授のヒント『春と修羅』とは?

「春と修羅」ってどんな作品?

牧元教授の行動の目的を理解するために、彼が残した遺留物に注目してみましょう。グローリー丸の中にあったのは、宮沢賢治の詩集、『春と修羅』でした。この詩集は1924年に宮沢賢治が自費出版したものですが、この詩集を刊行した背景には、賢治の妹のトシが1年半前に亡くなった、ということがあります。

この詩集を賢治は「心象スケッチ」と呼び、彼の心の中の世界をそのまま言葉にした詩を集めた作品になっております。特に、表題にもなっている『春と修羅』という詩では、文面全体がうねっており、妹トシの死の直後の賢治の内面の動揺を伺い知ることが出来るのですが、この詩が重要なのは、賢治の内面の世界が崩壊していくも、ささやかな希望だけは残っている、という内容の詩であるという点です。

『春と修羅』の内容の解釈に関しては、参考にさせて頂いたブログがありますので、そちらをご参照して頂ければと思います。

【関連リンク】「宮沢賢治の詩・春と修羅・を俺なりに解説。」

劇中曲『Who will know』

『春と修羅』の詩の内容と似ている歌詞も劇中で登場します。ゴジラが放射熱戦で東京を破壊するシーンに流れる『Who will know』という曲の歌詞です。この曲の歌詞とそれの和訳が載っているブログもございますので、そちらをご参照ください。