人生にガツンと来る!漫画家・安野モヨコの作品ならこれを読めTOP10





ドラマ化・映画化・アニメ化された作品もある有名漫画家のひとり・安野モヨコ。しかしそんなメディアミックスで彼女を知った気になっていてはいけません! 彼女の作品の本当の魅力は、彼女にしか描けない強いエネルギーなのです! 男も女も、今こそ安野漫画にパワーをもらってはいかがでしょうか?

第1位『ハッピーマニア』シゲカヨ旋風を起こした恋愛漫画革命


ハッピー・マニア 1巻 (FEEL COMICS)(出典:Amazon)

超恋愛体質で彼氏がいないと生きる意味すら見失う25歳のダメ女・重田加代子。しかし彼女の恋愛道は、二股にストーカー、勘違い男といつだってトラブルばかり! その最大の原因はシゲタの「男はとりあえずヤッてみないと!」という短絡的なところにあるのですが、それでも彼女は停まることはありません。ほしいのはただひとつ、心が震えるほどの幸せな愛…! それだけを求め、恋の暴走列車シゲタは今日もゆく!

少女漫画誌出身の安野モヨコが、活動の場を本格的に女性誌へと移して大ブレイクした金字塔的作品。それまでの恋愛漫画のタブーを超えた「まずはセックス!」という恋愛観が、主に20代女性の共感を集め一世を風靡しました。愛の台詞もギャグもキレッキレで、最高に脂ののっていた時代の安野モヨコ作品です。ぜひ20代のうちに読んでみてください。

第2位『さくらん』破天荒な花魁・きよ葉の強さと哀しさ


さくらん (イブニングコミックス)(出典:Amazon)

身寄りを亡くし幼いうちに遊郭へと売られた少女・きよ葉。彼女を待っていたのは一番人気で気の強い姉女郎や、逃亡を図るたびに折檻する女主人と男衆、そして遊び慣れた狸爺といった、いずれも偽りの色恋の世界でしか生きていけない人間たち。花魁の才能を持ったきよ葉は、傷つくたびに強くなり、望まぬうちに花魁街道を上りつめることとなるのでした。

蜷川実花によって映画化されましたが、むしろ映画版(特にラスト)が嫌いだという人にこそ原作を読んでほしい作品。この作品に描かれているのは夢物語のような美しさと安易なハッピーエンドではありません。あきらめたはずの幸せを何度も夢見ては裏切られ、そのたびに強くなるしかなかった女の人生です。作画も構成も無駄がなく、安野モヨコの漫画家としての底力を堪能できます。現在第1部完までが単行本化。

第3位『脂肪という名の服を着て』ダイエットに取りつかれた女!


脂肪と言う名の服を着て-完全版(出典:Amazon)

OLの“のこ”は幼少期からストレスを過食で発散し続けたためかなりの肥満で、暗い性格も相まって職場でもつまはじきにされていました。しかしそんなのこにもエリートの彼氏・斉藤は優しく、彼女にとっては唯一の安らげる相手です。しかしその斎藤を美人の同僚マユミに奪われたことから、のこはある考えに取りつかれます。「痩せれば幸せになれる」と。そんな彼女はテレクラで出会った謎の老人・藤本にもらった大金で、やせて生まれ変わることを決意しますが…。

女の美容、ことダイエットへの“執念”を描き切った怪作。ファッションや女性の美しさに強いこだわりを見せてきたそれまでの安野作品のイメージをぶち壊すような、現代の怪談です。全く美しくない主人公、造形は美しくとも心根の醜さがにじみ出た主人公の天敵、温和なエリートのはずが一変して心の闇をさらけ出す彼氏。どれもが生々しく恐ろしいのに、一度読み始めたら決して途中でやめられない中毒性があります。怖い! でも止まらない! それはまるで過食と嘔吐のように…。

第4位『花とみつばち』進め!悩め!モテたい男子よ!!


花とみつばち(1) (ヤングマガジンコミックス)(出典:Amazon)

ある日、超カワイイ女の子のりこに一目ぼれした小松ですが、彼は学校でも地味系に分類されるモテない男子。しかしモテたい気持ちは人一倍! ついに非モテを脱却しようと奮闘を始めますが、メンズエステでは美人のオニ姉妹のおもちゃにされ、クラスのイケてる女子サクラには冷静にツッコまれと、モテ道は予想以上に険しい様子。はたして小松の進む先に“モテ”はあるのでしょうか…?

『ハッピーマニア』の男版と言ってしまえばそれまでですが、実は女よりも難しいのが男のモテ道。「好き」と「モテたい」の違いすらわからないまま暴走し、いつも壁にぶち当たる小松に、心当たりのある男子も多いのでは? 女性誌から青年誌へ移ったことでギャグとスピード感がパワーアップしていて、その場その場の勢いとノリならピカイチの作品です。女子にもおすすめ。

第5位『シュガシュガルーン』ラブリー&キュートな魔女の恋♡


シュガシュガルーン(1) (なかよしコミックス)(出典:Amazon)

魔界からやってきた2人の魔女、ショコラとバニラの目的は男の子に恋心を抱かせ、そのハートを奪うこと。そのハートの数を競って、2人のどちらかが次の魔界の女王となるのです。しかし魔界では大人気だった強くて勝気なショコラより、引っ込み思案で優しいバニラの方が人間界では男の子に好かれるようで…。しかも2人の心をかき乱す謎の少年ピエールまで現れ、2人の女王試験は先の読めない展開に!

恋と魔法という王道の少女漫画要素を軸に、安野モヨコならではの恋愛観や正義を子供たちにもわかりやすく説いた良質な少女漫画。しかし大人の女性が読んでも楽しめるし考えさせられるほどの濃い内容です。恋愛も素敵だけど友情や自分たちの住む世界のすべてが大事。そういった大きな意味での“愛”がテーマとなっています。安野作の長編の中で最もきれいにまとまっているという点でもおすすめ。

第6位『働きマン』人はなんのために働くのか!?


働きマン(1) (モーニングコミックス)(出典:Amazon)

週刊『JIDAI』編集部の女性編集者・松方弘子28歳独身。日夜良い紙面づくりに没頭する彼女は、本当の仕事モードに入った時、「働きマン」に変貌します! 主人公の松方と彼女を取り巻く同僚や彼氏、彼女が懇意にするマッサージ師、働くすべての人々の「仕事とは何か」にまっすぐ向き合った力作。

月並みな言い方ですが、ふと自分がなんのために働いているのかわからなくなったときに手に取ってほしい漫画です。働かなくてはいけないのはわかっているし、辞める気もない。しかし何らかのわだかまりを抱きつつ仕事をしている人がほとんどでしょう。この作品に出てくる「働きマン」たちのうちの誰かが、あなたのそんなわだかまりに答えをくれるかもしれません。…しかし『さくらん』にせよ『働きマン』にせよ、大人向け雑誌に描くようになってから、安野の絵が見違えるほど丁寧ですね。

第7位『カメレオン・アーミー』安野入門に最適!傑作ばかりの短編集


カメレオン・アーミー (FEEL COMICS)(出典:Amazon)

不倫で退職し、文房具メーカーで働くことになった新田祐子はオヤジばかりの地味な職場でもファッションには気を抜かないというポリシーを持ったOL。そんな祐子の後を追うようにメイクや髪型を真似していく唯一の女の同僚・大山。地味で暗かった彼女が垢抜けていくにつれ、祐子にも変化が訪れて…? 表題作『カメレオン・アーミー』他、エッジの鋭い傑作短編ばかりを7作収録。

どの女性誌も開けば安野の漫画が載っていた時代がありました。信じられないような仕事量をこなしていた頃の傑作をメインにまとめられた短編集です。表題作のオチまでの引っ張り方も見事ですが、シビアな現実を突きつけつつ最後に救いを与える『夜の王子様』、ひと夏の恋の甘酸っぱさが香る『渚にまつわるエトセトラ』など、どれも違った読み応えあり。安野モヨコの入門編としては最適かもしれません。

第8位『ジェリー イン ザ メリィゴーラウンド』初期の人気作


新装版 ジェリー イン ザ メリィゴーラウンド 1(出典:Amazon)

四倉不動産の令嬢ミリは、女子高の同級生たちと話も合わず、男の子になることを願う退屈な毎日を送っていました。しかし彼女の16歳の誕生日、初対面の双子のきょうだい・モモが突然やってきたことから、生活は一変! カッコいい男の子たちと一緒に暮らすことになり…。

恋とオシャレという10代の少女たちの夢を詰め込んだキラキラのラブコメ。しかし主役のミリの性格をはじめ、あちこちに安野らしいピリ辛のスパイスが効いています。タイトル通り、メリーゴーラウンドのようなめくるめく展開を甘く楽しむ作品。この連載で安野節が確立した感があります。

第9位『監督不行届』安野&庵野の気になる夫婦生活は?


監督不行届 (FEEL COMICS)(出典:Amazon)

女性誌に革命を起こした漫画家・安野モヨコと、『エヴァ』で一世を風靡したアニメ監督・庵野秀明。サブカル界のビッグカップルの夫婦生活を赤裸々に描いた(ほぼ)実録エッセイ!

夫婦どちらかのファンであれば、あるいはディープなアニメ・漫画オタクであれば十分に楽しめる漫画。安野もオタクですが、庵野のオタクレベルは想像を絶しています! 日本有数のオタク夫に振り回される妻の苦悩と幸せをあなたも堪能してください!

第10位『美人画報』イラスト満載のファッションエッセイ


美人画報 ワンダー(出典:Amazon)

ファッション誌『VOCE』に連載された、フルカラーイラスト付きのエッセイ。安野が思う美しい人やモノ、美しくなるための努力について書かれています。「美人とは!?」なんて堅苦しく考えず、イラストや作者の体験・失敗談を楽しむつもりで読むといいですよ。無印の他『ハイパー』、『ワンダー』の計3冊が発売。