新海誠監督作品『君の名は。』は、当初の予想をはるかに超える異例の大ヒットとなりました。これほど多くの人々に支持された理由の一つに、名優たちの素晴らしい声の演技がありました。賛否両論ある俳優のキャスティングについて起用理由も合わせて検証します!
記事の目次
新海監督が俳優キャスティングにこだわる理由とは?
アニメ映画の声優に声優業を本職で営んでいる人たちを使わず、俳優を使うことを好む監督が多くいます。例えば、ジブリ映画もそうですし、細田守監督も。『君の名は。』も主要なキャスティングは全て俳優で固めています。
『君の名は。』だけ見ると、新海監督は声優よりも俳優を好むのかと考えてしまいそうになりますが、実は、監督自身の想いは別にあるようです。監督の公式Twitterでも弁明が掲載されていますが、故意に俳優を選んでいるわけではなく、声優も俳優も関係なく「最も合う」人にお願いしているそうです。
確かに、過去作で主役に声優を抜擢している新海作品もあります。その際も、やはり誰に声優をお願いするのか熟慮に熟慮を重ね、新海監督が「この人だ」と思った人が演じています。
「有名俳優ならだれでもいい」「有名声優ならだれでもいい」といういい加減な尺度で選んでいるわけではないんですね。新海監督は「声」に人一倍こだわりをもって声優をキャスティングしています。
アニメで俳優と声優どちらを使うべきか云々は議論になることもありますが、僕たちはシンプルに両者の区別を付けずに声と芝居から選ばせていただいています。本番前にお会いして、声も録らせていただいて、絵に合わせて感触を見たりして、時間をかけて選びます(きっと多くの映画がそうであるように)。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) June 7, 2016
主人公:立花瀧 役|神木隆之介
主人公の都会の高校生・立花瀧を演じたのは、2歳のころから子役として活躍していた神木隆之介です。神木は、アニメや漫画などサブカル好きでも知られていました。ジブリの『千と千尋の神隠し』では坊役を、『ハウルの動く城』ではマルクル役を、『借りぐらしのアリエッティ』では翔役を演じるなど、ジブリとの関係も深い俳優です。新海監督作品も以前から「好きだ」と公言しており、『君の名は。』の主演抜擢はかなり嬉しかったよう。
神木を瀧 役に抜擢した理由を新海監督は3点挙げています。一つは、演技力。二つ目は、中世的な魅力。三つ目は、耳の良さ。新海監督がキャストを選ぶときに重視しているのは、役へのマッチングと、演技力、そして柔軟性だと思います。神木は、演技力は軽くクリアー。そして、アニメ好きだからこその声へのこだわりと、入れ替わりが起こったときの三葉が入った瀧を演じられる中性的な要素と柔軟性が他の誰よりも勝っていたのでしょう。
最終的には神木以外に瀧は考えられなくなったと新海監督が語るほどに、瀧は神木であり、神木は瀧だった…と思います。
神木くんから「『言の葉の庭』見返してます」とか「昨夜は秒速の3話を見てから寝ました」とかLINEが来て、「もう『君の名は。』の仕事は終わったんだからいいんだよ!」と言ってあげたくなります(笑)。本当に好きでいてくれるんだなあ。嬉しい。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) September 12, 2016
「君の名は」を絶賛する声を見るにつけ、ひねくれ者として「観たら負けだ」とか「ファッションオタクが!」と思っておりましたが、「神木くんが女の子みたいな声で『ヒャン!』って言うんだよ」という友人評に屈しました。個人的ナンバーワンレビューは「神木がヒャン!」ですええ
— うさお(極北) (@U_sao_R) October 4, 2016
瀧くんの時も神木くんの顔は見えないのに瀧くんが神木に見えた時があった。役を寄せ付ける神木くんすごい。
— しだのすけ (@d0109k0519) March 23, 2017
ヒロイン:宮水三葉 役|上白石萌音
『君の名は。』の三葉 役が評価され、2016年に大ブレイクを果たした上白石萌音。新海監督は、上白石のことを絶賛しており、「何百人に会っても、三葉は上白石萌音さんになっていた」とまで語っています。当時、ほぼ無名だった上白石がヒロインの座をゲットしたのは、演技力の確かさはもちろんですが、その存在そのものがもう三葉だった…ということでしょう。
上白石の演技力に、起用当初は否定的だったアニメファンたちも納得!上白石は、映画主題歌『なんでもないや』をカバーし、歌番組などに出演するなど、その素晴らしい「声」を活かして活動の幅を広げています。
アニメオタクは芸能人を声優に起用することに抵抗感を示すことはよく知られてるけど、「君の名は。」で主演2人(神木隆之介、上白石萌音)に対するそういった芸能人アレルギー的な意見がオタク側からほとんど出てきてないのはある意味スゴいことだと思うw。
— まりんらいなー (@malineliner) October 3, 2016
アレルギー性鼻炎の薬がきいて、ねむい。あと、昨日君の名は。をみたけど、神木くんはもちろんだけど、上白石萌音ちゃんはうまいねえ。舞妓はレディのときから可愛くて好きだったけど、やはりいいねえあの子。
— こおろぎ (@tampak) November 6, 2016
『君の名は。』は神木くんについてはしっかり評価されてる感あるけど、個人的には三葉役の上白石萌音の演技がとんでもないと思うんだよなー。もっとみんな讃め称えるべきではないのか
— lenslet (@lenslet) January 25, 2017
宮水一葉 役|市原悦子
一葉おばあちゃんを演じたのは、ドラマ『家政婦は見た!』や『まんが日本昔ばなし』でナレーションなどを担当していた市原悦子。本作の中の一葉は、物語の語り部としてとても重要な役柄です。新海監督自身が一葉の声はぜひ市原悦子に…ということで出演が実現したそう。
君の名は。市原悦子さんの、一葉さんの存在感がとても良かったなあ
— あるこ (@comet_pnt) August 28, 2016
君の名は。
良かった!!
最後の方で瀧くん扮する三葉の中に走るエヴァ弍号機が私には見えた。
あと市原悦子さんの演技が素晴らしかった!
— 星野つばさ★7/29昼LIVE@池袋 (@Tsubasa_Hoshino) February 19, 2017
そう言えば「君の名は」見てきたよ!めっちゃ綺麗だった。神木くんは天才だね……あと、ぶたこのアイドル❤市原悦子さん✨が出ててとても幸せになった😄これこれー!ってなりながら市原さんの語りを聞いたよ。市原さんっていつもは目立つのに凄く溶け込んでた。とても良かったよ
— ぶたこ (@byxvd) December 30, 2016
奥寺ミキ 役|長澤まさみ
瀧のバイト先のセクシーな先輩・奥寺ミキを演じたのは長澤まさみ。女優として活躍する長澤ですが、本作で声優としての魅力を開花させました。
その後、ユニバーサル・スタジオの最新作『シング』吹き替え版でもアッシュ役を担当し、ネット上でも「長澤の声が良かった」「けだるそうな感じがいい」など絶賛の声が相次いでいます。エンドクレジットを見るまで長澤が演じているとは気づかないというぐらいの主張しすぎない自然な演技が素晴らしいです!
長澤まさみの低めの声好きで君の名はでも思ったけど少年っぽさと女っぽさが共存してて今日SING見てアニメとかほんと映えるなと思った…前に若者たちか何かで歌初めて聞いたときうま~って思ってたから劇場で聞けたのかなりうれしかったよね
— こなみ (@konami_573) April 1, 2017
それを差し置いても長澤まさみ凄いわ…君の名は。でも全然違和感なかったし、声優もイケテる…歌も上手いし、天は二物も三物も与えたわ…
— ゆきんこ@7~9月はうたプリ祭 (@ykcoco3) March 22, 2017
宮水四葉 役|谷花音
三葉の妹・四葉を演じたのは、子役として活躍している谷花音ちゃん。「お姉ちゃん、ほんまに自分のおっぱい好きやなぁ」「お姉ちゃん、変やよ」「わーい。あの世やぁ」など元気いっぱいのストレートな発言が多い四葉。屈託のない谷花音の演技が光り、「可愛い!」と大絶賛でしたね。
昨日今更ながら君の名は。を観に行って、音楽良いなとか、映像綺麗だなとか、いい話だなとかいろいろ思ったことはあるんだけど、1番印象に残ってるのは四葉ちゃんの声優が谷花音ちゃんだったことなんだけど何で周りこれについて言及してないの???私めちゃくちゃビックリしたのに???
— 天 (@flfl_rain) March 30, 2017
君の名はの声優に賞を送るなら四葉役の谷花音さん一択ですね
— やまかわ (@symkwim) March 18, 2017
谷花音ちゃんて、『君の名は。』の妹役やってるんですね。まだ12歳なんだ。上手だったなー。ぼくは断然、姉(ヒロイン)より妹派でしたね。
— 鈴木初日30 (@suzukishonichi) December 31, 2016
勅使河原克彦 役|成田凌
三葉の友人・テッシーを演じたのは、モデル・俳優として活躍している成田凌。テッシーは大柄で、ザ・田舎の高校生といった感じの朴訥な人物です。成田凌自身は、かなり細身で、モデル業を営んでいることもあり、オシャレでカッコいい!普段の印象はテッシーとは真逆ですね。
そのため、映画を観てもテッシー=成田凌だと気づいた人は少なかったようです。これだけ化けられると、気づかないのも当然かも!
菅田くんは本当にカメレオン俳優だよね。ピングレでの二面性には本当に驚いた。
成田凌くんも本当にいろんな役をやるよね。一番驚いたのはテッシーの声だよ。笑— のえぴ (@snoe_pi) February 20, 2017
成田凌くんすんごい好きなんだけど
君の名はのテッシーの声だって今知って
ええええ(;°ロ°)ってなった。テッシーの「お互いたまらんなぁ」
ってセリフがめちゃくちゃ好きで!!
あれが!!成田凌くん!!?!!— ゆずやん (@yuzuyandesuu) January 19, 2017
名取早耶香 役|悠木碧
アイドル声優という位置づけ…といえばそうなのかもしれませんが、悠木碧に関してはその演技力が高く評価されており、ファンの心をつかんで離さない魅力があります。その最大の魅力は、どんな役柄でも演じられる幅の広さ。
可愛い不思議系女子を演じたかと思えば、クールなキャラ、狂気に満ち溢れたキャラなど、いわゆるカメレオン声優と言えます。
小難しい役に悠木碧ちゃん当てるのがアニメ映画の定石と化してる
— かねみつみねか🍹 (@getyourname328) April 8, 2017
サクラダリセット、脇役に悠木碧を配置した作品は名作ってのが君の名は。と聲の形で証明してるのできっといけるはずだぞ
— 46熊@アルフォウ園園長 (@Polaris0046) April 5, 2017
あと、悠木碧はものすごい名脇役なのかもしれない。シンフォギアやまどかでとても素晴らしい主役を演じているけど、聲の形にしろ君の名は。にしろ、脇役でいるとやものすごく作品が匂い立つ。素晴らしい役者さんです。
— 馳走人のふじひろさん (@fujihiro4416) September 18, 2016
ユキちゃん先生役|花澤香菜
『言の葉の庭』」からの友情出演ということで、ユキちゃん先生役は花澤香菜です。「逢魔が時」「カタワレ時」について説明しているユキちゃん先生の授業!いつまでも聴いていたいほどの心地よさでしたね~。本当に、こういう癒し系ボイス、貴重です!
劇中のユキちゃん先生の授業に登場した黒板を再現し、その前で写真を撮れるコーナーを作ります♪ RT @xxx001moon: これも大好評すぎて、混むと思うw平日しか無理だな\(^o^)/ https://t.co/bEwehGgGbo
— 新海誠作品PRスタッフ (@shinkai_works) March 6, 2017
orangeの菜穂、言の葉の庭とか君の名は。のユキちゃん先生、彼女と彼女の猫everything flowsの彼女など、少し影のあるナチュラルかわいいヒロインが好きなのだが、そういうカテゴリで花澤香菜の右に出る者がいないのだからそれは仕方ない。
— 脱力系さぶ子 (@sab_chan) March 9, 2017
言の葉の庭と君の名は。
ユキちゃん先生(cv.花澤香菜)が共通して出てんのがたまんなく好きなんだわ— 綾崎 (@ayasaki_pacchi) December 7, 2016
藤井司&高木真太 役|島﨑信長&石川界人
瀧の東京の高校での友人・藤井司と高木真太は、何と島﨑信長と石川界人が演じていました!
筆者自身、特に石川界人のファンなので、『君の名は。』を観るときに「絶対に逃してなるものか~!」という気持ちで見始めたのですが…、あっという間にエンドロール→感涙中…。で、「あれ?石川界人、どこに出てたよ!?」と慌てました(反省)。Blu-rayが発売された暁にはリピート再生しようと目論んでおります!
最初の方普通に瀧くんの名前覚えられずにリアルに君の名は…!?ってしてたし信長出て来てんんんって思ってたらエンドロールで石川界人がいたことに気づきあああああ!?!?ってなったりしました。石川界人ナチュラルすぎて全然気づかなかった
— 十日 (@E_N_Tendays) March 18, 2017
君の名はで瀧の友人役で出演してアニメ演技とはまた違った作品に溶け込む自然な演技というものを披露してくれた石川界人と島崎信長の話する……?
— もふもふ (@mohumohu234) March 18, 2017
石川界人の声を聞くためだけにもう1度君の名は見に行きたい…
— Lelia(リーリア) (@Lelia_331) February 23, 2017
主演の二人は第11回声優アワードW受賞!シナジー賞も!
2017年3月18日、第11回声優アワード授賞式が東京・文化放送メディアプラスホールにて執り行われました。なんと、主演男優賞&主演女優賞を受賞したのは、『君の名は。』で主演を務めた二人!見事、W受賞です!また、シナジー賞も『君の名は。』が受賞!
他の素晴らしい業績を残してきている声優陣を差し置いての受賞ということで、賛否両論あるようですが、本作で二人が素晴らしい演技をしたというのは間違いのない事実。より多くの人々を感動させ、涙させたという事実が何より勝ったということでしょう。
アニメに声を当てるということ。例えば他の作品では、力が伴っていない俳優がネームバリューだけで仕事をし、バッシングされることもありますが、本作では完全に実力が優先されています。今回の声優アワードでは、これからの日本アニメの声優の在り方が示されたのではないでしょうか。
第十一回声優アワード、神木くんが主演男優賞、萌音ちゃんが主演女優賞を受賞したとのこと。信じられない! 嬉しい!! 神木くん、萌音ちゃん、本当におめでとうございます。得がたい声と素晴らしいお芝居をいただけて、『君の名は。』は本当にしあわせな作品になりました。君たちは最高でした!
— 新海誠 (@shinkaimakoto) March 18, 2017
シナジー賞は「君の名は。」が受賞 声優アワード https://t.co/6FF3PxE6Xt @nikkansportsさんから
— 新海誠作品PRスタッフ (@shinkai_works) March 19, 2017
主演が両方共声優が本職ではない方の受賞だけど、ちゃんと作品を観て、「役者」としての素晴らしい演技を観ているので、納得できる受賞!
上白石さんが、瀧と三葉とひとつと仰っていたけど、確かにそうだね。
主演ダブル受賞おめでとうございます!#agqr #声優アワード#君の名は— 夕闇の狼 (@AbendWolf) March 18, 2017